示談と示談書 弁護士解説|前科を付けないために

公開日 2022/7/8 最終更新日 2023/10/3

示談とは

示談とは,一般には「民事上の紛争を当事者間で解決する」というような意味ですが,刑事事件においては,よく「示談で話をまとめた」とか,「示談で不起訴を勝ち取った」というような表現がなされるときがあります。

刑事事件で用いられるの示談という言葉については,「被害者に被害弁償をして被害を回復する」,さらに進んで「被害者に賠償をして被害届の取り下げをしてもらう」というような意味合いも含まれてきます。

刑事事件における示談の意味

特に被害者のいる事件の場合,被害者と示談ができているかどうかという点は,刑事処罰の軽重に大きな影響を与えます。

犯してしまった罪のそもそもの法定刑にもよりますが,示談が出来なければ刑事裁判となり実刑の可能性もあるような事件でも,示談ができていれば不起訴(=前科の回避)となるような場合も少なくありません

明確な被害者のいる犯罪,強制わいせつ・傷害・詐欺・窃盗・盗撮などについては,示談が刑事処罰の軽重に与える影響がより大きいのが特徴です。

示談書の意味

示談は,あくまでも当事者間の約束のようなものですので,口頭でも成立します。しかし,特に刑事事件における示談の場合には,「示談をした」という事実を裁判官や検察に把握してもらい,認定してもらう必要があるため,示談書という形にすることは事実上必須といえます。

そして,その示談書は,「刑事事件として意味のある示談書」でなければなりません。

刑事事件として意味のある示談書とは

民事事件としての観点からしか示談を見ていない場合,示談書は単純に,

「この事件の損害は○○円であり,その○○円については,〇月〇日までに支払う」

「この事件はこれで解決とし,双方は本件以外に債権債務関係にはない」

というような内容だけの示談書になってしまいます。

しかし,これでは刑事事件として処罰を軽くする効果は限定的なものになってしまいます。

刑事事件の示談書に求められる要素で一番大切なのは,被害者の処罰感情がどうなったのかということについての記載です。

通常,被害者は警察などで事情聴取を受ける際,「犯人を厳しく処罰してほしい」というような内容の調書を作成していることが多いです。このような調書についてそのままにしておくと,検察官や裁判官は文字通り受け取り,「被害者は厳罰希望」というような前提をもとに事案を処理してしまいます。

この厳罰希望の調書を覆すことができるのが,刑事事件として意味のある示談書であり,そこには被害者のその時点での処罰感情を記載しておく必要があります。

示談書の文言として,理想的には「被害者としては加害者の刑事罰を望まない」という記載をもらいたいところです。

プラスαで,「今後一切被害者とは接触しない」であるとか,「本件については口外しない」というような約束事も入れておけば,被害者としても安心材料が増えますし,検察官や裁判官にいい印象を与えることにも繋がります。

当然ですが,被害者にはその記載の持つ意味,そういう記載のある示談書に署名押印することで加害者の罪が軽くなるということを理解いただいたうえで署名押印をしてもらう必要があります。

示談金の決め方や相場,いかにして示談をするのかという点については【示談と示談金の相場の解説|前科回避に向けて】をご覧ください。また,実際に示談をしたいと考えている方は,弁護士相談を活用して前科が回避できるよう動くことをおすすめします。

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