大阪・梅田の盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)事件|弁護士の法律相談窓口のご案内

今回は、大阪・梅田の盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)事件について、ご相談の窓口をご紹介したいと思います。

大阪・梅田は大阪キタの中心地として人の往来が激しい地域として知られています。ラッシュアワーには混み合う電車内や駅構内で、人との距離が密になるため痴漢や盗撮という犯罪が発生しやすい環境になります。

最近では、リモートワークを中心にしている会社も増え、これまでのような乗車率120%以上という電車は幾分減ったようにも思います。とはいえ、やはり通勤時間帯の人の混雑は大阪・梅田の代名詞ともいえるでしょう。

大阪・梅田の盗撮事件にも様々ありますが、「少し魔がさしてしてしまった」というケースは少なくありません。女性の後ろからスカート内にスマホを差し入れ行う盗撮が典型例と言えるでしょう。大阪・梅田の近辺ですと、曽根崎警察署が近くにあります。現行犯逮捕で連れていかれる場合、多くは曽根崎警察署になると思われます。

被疑者という立場になった場合、どのような対応をすることが正しいのでしょうか。それは、「弁護士にすぐ法律相談する」この一択だとお考えください。自分自身が逮捕され警察署に連れていかれた場合は、自分は身動きがとれません。電話やメールなども許されないでしょう。しかし,事件の処理は矢継ぎ早に進んでいきます。このような話をしてもいいのか,この書類にサインしてもいいのか,訳も分からぬまま警察官の勢いに押し負けて,思ってもいないことを話す形になってしまったというようなことは日常茶飯事です

そうならないためにも,即刻弁護士を呼び、警察署内での面会を求めるべきです。また、家族が逮捕されたというのであれば、家族ができることは、本人に代わって法律相談に行くこと,弁護士に依頼して本人にアドバイスをしてもらうということです。

大阪・梅田の事件に対応できる弁護士はネットで検索すると多くヒットしますので、その中ですぐに対応してくれる弁護士を探すのがよいでしょう。当事務所では、刑事事件に注力していますので、お問合せをいただければ最速で法律相談のご案内をさせていただきます

釈放され、警察から自宅に帰れたとしても、そこで安心できないのが盗撮事件です。いったん警察が盗撮事件を認知して捜査を開始すれば、簡単に事件が終了することはありません。一定の手続きを経て、事件は検察庁に引き継がれ,少なくとも罰金刑にはなってしまうケースが多いと思われます。刑事処分が出る前であれば,罰金の前科が付く前に被害者との示談などで不起訴処分を狙うこともできます。いずれにせよ、弁護士の法律相談を受けていただくことをお勧めします。

大阪・梅田の盗撮事件では、被害者対応を適切に行うことで「不起訴」という処分を狙うことも可能です。不起訴になれば刑事裁判を受けることもなく、前科がつくこともありません。早く、適切な被害者対応をするには、大阪・梅田の盗撮事件に慣れている弁護士に一度ご相談いただくことがよいでしょう。

当事務所では、これまで数百件のご相談をお受けし、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が対応させていただきます。できるだけわかりやすく、丁寧にご説明をさせていただきます。一日も早く平穏な元の生活を取り戻すため、一緒に解決に向けて考えていきましょう。

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交通事故被害 慰謝料の決まり方

話題① 慰謝料に基準が複数あるのはなぜ

交通事故の慰謝料について調べてみると,何やら基準が,大きく分けると三つほどあることが分かると思います。

「裁判基準(弁護士基準)」,「任意基準」,「自賠責基準」などと呼ばれており,ひとつの同じ事故被害なのに,支払い基準(=支払額)が変わってくるようです。どういうことなのでしょうか。

・そもそも「慰謝料」とは

その前に,「慰謝料」とは何かというところから説明が必要かと思います。「慰謝料」とは,「精神的苦痛に対する賠償金」のことです。ただ,精神的苦痛に対する賠償金といっても漠然としすぎていて,算定しようがありませんので,交通事故の場合は,主に「後遺障害慰謝料」と「通院慰謝料」とに分けて考えるのが実務になっています。

「後遺障害慰謝料」は,認められた等級に応じて支払われる慰謝料です。「後遺障害慰謝料」にも数多くの問題点がありますが,今回は以下の「通院慰謝料」に絞ってお話をすることとします。

「通院慰謝料」は,その言葉からすると,「通院することのつらさ・煩わしさなどに対する慰謝料」という響きですが,実際はもっと広く「事故によって生じた痛み・苦しみ」「事故に関連して発生した手間」なども対象に含めたものととらえることが一般的です。

・通院慰謝料の算定について

交通事故の被害にあったときに,それにより生じる弊害は,人それぞれです。事故の時にどれだけ痛い思いをしたのか,通勤がどれだけ苦しかったか,ギプスをしての生活にどれだけ苦労したか,痛みで夜寝れないことや,勤務先の同僚に迷惑をかけて白い目で見られたり,家族に迷惑をかけることが心苦しかったり・・・。本来であれば,その一つ一つの苦しみ(=精神的苦痛)がいくらの損害なのか,金額を算定し,加害者や加害者加入の保険会社に賠償させるというのが筋ではあります。

しかし,日々発生している交通事故一件一件について,そのような個別の細かい算定は,現実的には不可能です。すべての事故につき,個別の細かい事情をくみ取って計算していくとなると,賠償額の算定に時間がかかりすぎてしまい,被害者がなかなかお金を受け取れないという事態も想定されます。

そこで,人それぞれ色々な苦しみがあるのは分かっているが,それはさておき,慰謝料の計算としては,通院した期間を根拠にして,画一的に慰謝料計算をしてしまおうということで,裁判所を含めて,実務が回っているのというのが実情です。

「どれだけ痛い思いをしたか」などという個別の事情は,「治療終了までの期間がどれくらいの長さであったか」という要素で,ざっくりと考慮することにしてしまうということになります。

被害者としても,いつまでたっても金額すら決まらず,お金がいつ受け取れるのか分からないというような事態を回避するという点ではメリットのある手法です。

かなり特殊なケースの場合は,被害額を別途検討したりもしますが,多くの交通事故では,個別具体的な事情は,そこまで大々的には金額に反映させず,おまけ程度に加味されるかどうかというレベルの要素になっています。

・通院慰謝料にも基準が複数あるというのはなぜ

その通院慰謝料にも「裁判基準(弁護士基準)」,「任意基準」,「自賠責基準」などという基準があります。同じ事故にあったのに,支払い基準(=支払額)が変わる,これはなぜでしょうか。

「自賠責基準」とは,自賠責保険から支払われる金額の基準です。被害者側からすると,加害者側が任意保険に入っておらず,自賠責保険にしか入っていなかったとき,加害者側の保険から受け取れるのは,この自賠責保険の基準に沿った額だけとなってしまいます。

「任意基準」とは,任意保険会社独自の通院慰謝料の基準です。各保険会社ごとに,「このくらいの通院期間ならば,このくらいの額」と,独自に決めています。

「裁判基準(弁護士基準)」とは,裁判を提起して,被害者側の要求が理想的に通った場合の額,保険会社からすると裁判で完敗したときの基準というところでしょうか。

この三つの基準では,「裁判基準(弁護士基準)」,「任意基準」,「自賠責基準」の順で高額となります。

このうちの「自賠責基準」については,国家の政策という要素もあって,無保険車と事故をしてしまっても,最低限これくらいは保証を受け取れるようにしようというようなものなので,これはあくまでも政策的に決められた最低限の基準ということになります。

問題は「任意基準」というものの存在です。同じ治療期間のケガを負わされたのに,受け取る慰謝料の額が違うということの根本的な原因は,保険会社が裁判所が認めるような額をすんなり支払わず,自分たちで決めた基準(=任意基準)などを持ちだして,少しでも低い支払額で済ませてしまおうとしていることにあります。

保険会社が,全ての事故について,裁判で完敗したときくらいの通院慰謝料を払ってくれるのであれば,慰謝料の不公平などというものは生まれません。ただ,保険会社も営利を追求する企業である以上,できる限り支出を抑えるという方向に動くのは致し方ないところでもあります。

裁判で完敗したときの基準では支払えないが,だからといって,すべての事故で被害者と真っ向から裁判でやりあうというのは,手間も費用も掛かりすぎる。それなら,ある程度のところまでなら支払う,その基準が「任意基準」ともいえます。

通常,事故の治療が終わり,保険会社と示談の話になって,弁護士がついていない段階で,保険会社が提示してくる金額は,「任意基準」に則ったものであるケースが大半でしょう。

「弁護士が入ると,慰謝料が増額するというのはなぜ」という点については,

慰謝料増額のからくり」でお話しします。

大阪の盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)事件|弁護士による典型事例の解説5選

当事務所は大阪の中心地である梅田からほど近い場所にあります。梅田は大阪の中でも人の往来が激しく、ラッシュアワーの時間帯は人の混雑が契機となり様々な事件が起こります。今回は盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)事件に着目し、いくつか事例を紹介し解説をさせていただきます。

事例① 電車内での盗撮事件

満員電車の中では、人との距離がとりにくいものです。スマートフォンをスカートに差し入れての盗撮や、小型カメラを穴の開いた靴先に忍ばせる手口での盗撮も発生しています。

 ▶弁護士の一言メモ

盗撮事件は「ちょっと魔が差してしてしまった」ケースと「用意周到に準備をして実行行為に及んだ」ケースがあります。小型カメラを靴先やカバンに忍ばせての盗撮は、後者と認められやすくなり,より悪質であるととられやすくなります。


事例② プラットホームでの盗撮事件

ホームで電車を待っている間、スマートフォンや読書に夢中になっている被害者を狙って、後ろから盗撮が行われるケースがあります。ラッシュ時には周りに人が大勢いても、意外と被害者は気づきにくいものです。スーカート内を長時間、動画撮影するような盗撮もあります。

 ▶弁護士の一言メモ

スマートフォンによる盗撮では、逮捕時にスマートフォン内のデータをチェックされます。他に盗撮動画や画像が入って入れば、余罪の追及は免れないでしょう。また、長時間の動画撮影では、行為態様が悪質であると評価されるかもしれません。


事例③ 駅構内のエスカレータでの盗撮事件

のぼりのエスカレータでもよく盗撮が行われます。被害者の後ろにつけてエスカレータにのり、段差を利用して盗撮をするケースです。ここでもスマートフォンを使った盗撮が多いです。周囲に目撃され、現行犯逮捕される事例も多くみられますし,私服警察官によるパトロールで警察官に現認されての現行犯逮捕という例も多いです。

 ▶弁護士の一言メモ

現行犯逮捕されると、そのまま警察署へ連れて行かれます。警察署では犯行を行ったことを前提に取調べが行われます。仮に冤罪だったとしても、警察官は冤罪の可能性は考慮せず,こちらが盗撮していることを前提に,「言い訳をしている」・「往生際が悪い」という扱いをされるケースが多いほとんどでしょう。「ここで認めれば,早く出られるかも」というような誘惑も頭をかすめるはずです。

どういう行動をとればどうなるか,この辺りが分からないのに,下手に決断してしまうのは危険です。すぐに弁護士を呼び,事情を説明し,その上でどうすればいいのか,じっくりと相談して,慎重に対応をするべきです。


事例④ トイレでの盗撮事件

個室トイレに小型カメラを隠し盗撮が行われるケースがあります。女子トイレだけでなく、男性のトイレにも仕掛けられることもあります。また、人が入った個室トイレを隣のトイレから覗き見るという盗撮行為もあるようです。

 ▶弁護士の一言メモ

個室トイレ内の盗撮ケースでは、違法な目的で建物に侵入したとして、撮影罪【性的姿態等撮影罪】の他に建造物侵入罪も成立してしまう可能性があります。建物の管理権者の管理権を違法に侵害したと判断される場合です。


事例⑤ 更衣室での盗撮事件

更衣室にカメラが仕掛けられることもあります。同僚などを狙う場合も多いです。カメラに気付いた人が警察に通報して,事件化するケースが多く,誰が犯人なのかとその職場では大騒ぎになる傾向にあります。

 ▶弁護士の一言メモ

更衣室の盗撮も、盗撮の他に建造物侵入罪が成立する可能性があります。会社員などが,勤務先の更衣室を利用するのは通常の職務の範囲内ですが、盗撮のために異性側の更衣室に忍び込んだとなれば、職務とは関係のない違法な行為をしたことになります。更衣室の管理権者の管理権を侵したことになり、建造物侵入罪が成立しうる状態となります。


盗撮事件は、現行犯逮捕されることがあります。逮捕されると、すぐに警察署で取調べが行われます。まったくの冤罪という事態もあれば,盗撮自体はしたけれども警察の想定しているようなレベルで連続してまではしていないということもあるでしょう。

盗撮で逮捕されたという状況になると,すべてが終わったと思ってしまい,投げやりになって,やってもいないことまで認めてしまう方もいます。しかし,やってもいないことまで「やった」と話して,それが一度でも調書になってしまったら,あとでそれを覆すことは非常に困難になります。最終的にやってもいないことで裁かれてしまう可能性が高まります。

まずは弁護士を呼び,状況を説明して,どうすべきなのかを共に考えていくことが,今後の人生にとっても重要です。

どういうことを疑われているのか。

実際にそういうことをしたのか。やってしまっているなら被害者対応をどうするか。

やってもいないことまで疑われていないか。

職場にはどう報告するか。家族にどう説明するか。

いかにして早く出るか,そのためにはどうすればよいか。

相談するべきことは山ほどあるはずです。弁護士のアドバイスに従って慎重な対応をし、早期釈放・早期解決を目指しましょう。

ご家族や友人が逮捕された場合、まずはこちらまでご連絡ください。刑事事件は時間が経てば経つほど,どんどん手続きが進んでいってしまいます。「やってもいなかったことを認めてしまった」「被害者と示談をしたかったのに,処罰が決まってしまった」という事態を避けるためにも急ぎ対応をする必要があります。

【ご家族が逮捕された方の緊急問合せ窓口】

大阪の盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)事件|弁護士解説

先日、あるプロレスラーの方が駅で盗撮をした人を取り押さえたというニュースが取り上げられていました。盗撮の被疑者は、駅のホームで女性のスカート内にスマートフォンを差し入れ、盗撮をしていたと報じられていました。

盗撮撮影罪【性的姿態等撮影罪】)という犯罪は、駅のホーム、デパートのトイレ、民家の浴室など、様々な場所で行われます。行為態様としても、上記ニュースのように、スカートにスマートフォンを差し入れたり、小型カメラをトイレや浴室に設置する場合もあります。

盗撮は、これまでは各都道府県が定める迷惑行為防止条例(名称は都道府県によって異なります)や軽犯罪法で処罰の対象となっていましたが、2023年7月13日に性的姿態撮影等処罰法が施行され、これからはこの法律で処罰対象となります。

その他、小型のカメラをあらかじめ設置するような場合は、住居侵入罪や建造物侵入罪という刑法犯に問われることもあります。盗撮と一言でいっても、成立する犯罪は様々なのです。

盗撮は、その場で被害者や目撃者に取り押さえられ、そのまま警察に連れていかれることがあります。これは状況によりけりではあるものの「現行犯逮捕」となることがあります。現行犯逮捕は警察でなくても一般市民でもすることができる逮捕として、法律に定められています。

大阪のキタといえば、多くの人の往来がある場所です。通勤時には満員電車が行きかう場所でもあり、駅構内、ホームも人であふれかえります。そのような場所では、盗撮事件も多く発生します。大阪は国内の犯罪発生率が高い地域であり、中でもキタ(梅田)やミナミ(難波)は人の集まる場所としてとりわけ盗撮などの事件が多い場所です。

盗撮で逮捕された場合、警察に連行され、すぐに取調べがはじまります。そこで大切なことは、警察の質問に対してどう回答するか、どういう調書を作成するのか,それとも作成しないのかということです。

「黙秘権を行使していい場面なのか」「どこまで話せばいいのか」「この答え方で不利益はないか」など、いろんな不安がよぎります。ただ,そのような不安をよそに,事態はどんどん進展してしまいます。

警察官は矢継ぎ早に質問をしてきますが、どの質問がどういう意味を持つのか、細かく検討する猶予などはあるはずもありません。

どう説明したらいいのか,聞き入れてもらえない場合はどうしたらいいのか,この書類にサインしてもいいのか,次々と判断を求められることになります。

そして,その決断のひとつひとつが後に決定的な影響を及ぼすことも多々あります

その不安を払拭するには、弁護士を呼ぶことが一番です。弁護士は逮捕直後から、被疑者の味方として法律相談にのります。ご家族から要請をうけて、警察署に向かうこともありますし、ご本人から直接連絡をいただくこともあります(警察を通じて)。

色々なことを話す前に,書類にサインする前に,まずは弁護士を呼ぶということが重要です

弁護士とつながりがない方は、ひとまず「当番弁護士」を呼ぶということもできます。弁護士のアドバイスのもと、警察の取り調べを正しく受けて、早期釈放を目指して行動していきましょう。

盗撮にくわしい弁護士であれば、取調べの受け方はもちろん、被害者対応についても詳しいアドバイスをすることができます。盗撮事件では、被害者に配慮しながら示談を進める必要があります。盗撮事件の弁護活動の経験豊富な弁護士に、まずは法律相談をするところからはじめていきましょう。

詳しいお話は、弊所の法律相談をご活用ください。ご家族が逮捕されている場合は、緊急窓口を用意しています。そちらから、ご連絡をお願いします。

【ご家族が逮捕された方の緊急問合せ窓口】

解決事例②ひき逃げ(救護義務違反)で不起訴処分

救護義務違反(ひき逃げ)ということで突然逮捕されてしまった事案

【依頼前の状況】

突然警察が自宅にやってきて,「救護義務違反(ひき逃げ)で逮捕する」と家族を連れて行ってしまった。警察は,家族にも詳しい話はしてくれず,家族としても何が何だか全く分からないという状況で相談に来られました。

【依頼を受けてから】

「どうやらひき逃げで逮捕されたらしい」ということくらいしかわからない状態でしたので,まずは本人の拘束されている警察に赴き,詳しく話を聞くことにしました。

逮捕されるとき,警察は詳しい事情などは教えてくれないことが多く,家族は意味の分からないまま不安ばかりが募るということが多いです。

逮捕直後は基本的に弁護士以外は本人と面会ができません。通常,突然逮捕されてしまった場合,本人としても突然の逮捕に驚きつつ,冷静さを保てないまま,それでも取調べはどんどん進みます。

今どういう手続き中なのか,サインを求められている書面は何の書面なのか,そういうことを理解できている場合は圧倒的に少ないのが実情です。

その中で,警察から色々と言われ,流されるままに書面にサインなどしてしまう場合も多く,初めの段階でサインしてしまった書面が,後に決定的な証拠とされてしまうこともよくあります

そして、裁判官などは、そういう状況下でついサインしてしまうような心理状態について理解してくれない場合が多いというのが弁護士としての率直な感想です。

「そんなことを言っていますが、自分の意思でサインしたんですよね」と冷たくあしらわれるのがデフォルトと思っておいていいでしょう。

そういう事情もあり,逮捕直後はとにかくまず本人が弁護士と話をして、状況を理解し何をすべきかを理解すること,どういうことをしてはいけないかの確認がとても重要です。

今回も,できるだけ早く警察署に向かい,本人と話をしました。詳しく話を聞いたところ,本人は,「ひき逃げなんてとんでもない」「人をはねたことなど全くしらない」「なぜこんなことになっているか分からない」ということでした。

後から判明するのですが,このケースでは,事故自体は発生していました。ただ,この事故は,自転車が横から車の左後方部分に突っ込んできていただけであって,運転手の視界から完全に外れた部分で発生した事故であったので,本人は「何か音がしたな」くらいの認識しかなかったのです。

人がケガをしたことを認識しつつ,救急車を呼ぶなどしなければ,それは「救護義務違反(ひき逃げ)」になってしまいます。しかし,人がケガをしたことなど全く気付かず,そのままその場を離れただけでは「救護義務違反(ひき逃げ)」にはなりません。

だからこそ,「人がケガをしたことには気づいていなかった」といい続けることが最重要なのです。

しかし,このような状況の場合でも,警察はこちらの言い分に聞く耳を持ってくれることは少ないといえます。

警察は,「とにかく自白をさせる」ということを重視します。「人をはねたことなどない」,「知らない」といくら説明しても,「嘘を言うな」,「正直に言え」,「気付いていないはずは無い」というようなかたちで,こちらの話を聞かないというケースがよく見られます。

実際,人をひいてしまったことが分かっているのに,しらばっくれるケースもあって,警察としてはそういう嘘つきを絶対に逃がさないという思いもあるのかと思います。

ただ,それはまた別の話であって,本当に知らない・本当にやっていない人にとっては,本当のことを話しているのに嘘つき呼ばわりされてしまうことになり,いい迷惑です。

そういう事情もあり,「やっていない」ことを「やっていない」,「知らなかった」ことを「知らなかった」と分かってもらうのは意外と困難です。

警察沙汰などと無縁の生活をされている場合には想像しにくいかもしれませんが,令和の時代でも,依然として,警察官の勢いに負けて,やってもいないことについて自白してしまうという状況が頻発しているのが現状です。

この方は,幸いにも,「知らないものは知らない」と根気強く言い続けることができていました。私からも,「気付いていたかもしれない」というような調書に署名押印してしまうと,人にケガをさせたことに気付いていながら逃亡(=ひき逃げ)したことになってしまう,一度そういう調書に署名押印すると,今後その内容を覆すのは非常に困難なことなどを説明し,自分の考えや記憶と異なる調書への署名押印は絶対にしないように,更なる念押しをしました。

同時並行して進めなくてはならないのは,早期釈放への対応です。

裁判官は,対象者が逃げないか,証拠隠滅をしないかということを大きな要素として,さらなる身柄拘束の必要性を検討します。

そこで,家族の方に身元引受人になってもらい,裁判官に書面を提出しつつ,「本人は逃げたりしない」し,「証拠の隠滅などやりようがない」ことなどを説明し,釈放しても大丈夫ということを理解してもらう必要がありました。今回のケースでは,そういう対応も功を奏して,10日間の身柄拘束(勾留)という事態を避けることができ,一泊二日ほどでの釈放になりました。

釈放になった後も,今度は警察署に通う形で取調べは続きましたが,ご本人の頑張りで,最後まで,「知らないものは知らない」という話を貫き通すことができ,最終的には,嫌疑不十分という形で不起訴処分を勝ち取ることとなりました。

【更なる問題】

この事案では,ひき逃げで逮捕されてしまった場合の「刑事事件としての対応」を紹介しました。

交通事故の加害者を疑われたり,実際に加害者となってしまった時は,主に3つの問題を考える必要があります。それは「刑事事件」「運転免許証」「民事事件」の各問題です。

「刑事事件」としての問題は,罰金刑や懲役刑になるかどうかというもので,今回紹介したような内容です。

「運転免許証」の問題は,免許取消し・免許停止などの処分がどうなるかというものです。

「民事事件」としての問題は,被害者への賠償をどうするかというものです。

これらは複雑な問題が多々あります。

今回のように,「刑事事件」としては嫌疑不十分となって疑いが晴れたのに,「運転免許証」に関しては免許取消し処分のままであり,いくら刑事事件として嫌疑不十分になったと説明しても,免許証が戻ってこないなどということはよくあります。

この辺りについては,またの機会に紹介させていただきます。

解決事例①窃盗症(クレプトマニア・病的窃盗)による再犯で再度の執行猶予  

執行猶予中の再犯で,再度の執行猶予判決となった窃盗症(クレプトマニア)事案

【依頼前の状況】

お金は十分にあり,食べ物に困っているような状況でもない。

そのような状況下で,過去に何度も万引き(窃盗)をしてしまう。何度も逮捕され,執行猶予判決を受けていた。

そのような方が,その執行猶予期間中に,再び万引きで逮捕されたとのことで,ご家族がご相談に来られました。逮捕された方は,拒食症等の症状もあり,体調にも不安があるため,このまま長期間,留置場での生活をすると体力的にも心配という状況でした。

【依頼を受けてから】

まずは早期の身柄解放が必須であると考えました。

そこで,ご家族の方々に,身元引受け書や,家族で面倒を見るという宣誓書などを用意してもらい,それを持って,私から,裁判官に「本人が釈放されても家族が面倒を見る」ということなどを中心にアピールをしました。その結果,検察官の勾留請求はみとめられず,警察署に一泊しただけで釈放となり,まずは自宅に戻ってもらうことができました。

早期釈放が叶ったのは,家族の方が,逮捕されて早々に相談に来ていただいたおかげで,裁判官が勾留決定(10日間留置場にいなさいという決定)をしてしまう前に,裁判官を説得できた,これに尽きます。

警察署の留置場に少なくとも10日間入るのと,1泊だけで出られるのでは,仕事面・健康面などあらゆる面で大きく異なるであろうことは明白です。

ただ,一旦釈放となっても事件は終わっていません。

今回のケースは,執行猶予中に同じ罪を犯してしまった(執行猶予中の再犯)というケースであり,このまま反省だけを述べて裁判を受けても,実刑判決(刑務所行き)が出る可能性が高いケースです。

今回のケースでは,

「特にお金に困っていない」

「刑務所行きになるということが分かっていても,盗りたいという思いを止めることができない」

「拒食症の症状がある」

というような事情がありましたので,単純に物欲しさによる窃盗ではないということが明白でした。加えて,過去に私が見てきた窃盗症を患っている方々との共通点も多々あったことから,この方も窃盗症(クレプトマニア)なのではないかと考えました。

そうはいっても,医師ではない私が勝手に窃盗症(クレプトマニア)を疑ったところで確証がありません。まずは専門医に診てもらう必要があります。

しかし,窃盗症を専門にしている精神科医の数は,患者の数に比して極めて少なくで,ようやく医師を見つけたとしても,予約がいっぱいで,なかなか診てもらえないというのが実情です。

そのような中,なんとか専門医を紹介し,診てもらうところまでこぎ着けたところ,やはり窃盗症(クレプトマニア)という診断が出ました。そこからは,週に一度の「通院」・「自助グループミーティングへの参加」・「家族同伴以外では外出させないような仕組みづくり」などを徹底してもらうようにしました。

その後に始まった刑事裁判では,そういった治療内容や,再発防止に向けた取り組みなどを報告書にまとめて提出し,加えて,ご家族にも裁判所に出てきてもらい,証人として裁判官の前で,徹底した監督を約束してもらうなど,できることは徹底的に行いました。

そういった活動が奏功し,執行猶予中の再犯でありながら,「再度の執行猶予判決」を勝ち取ることができました。

判決で,裁判官が「できることはやり尽くしている」と評価してくれたことが印象に残っています。

この方は,判決後も治療行為や再犯防止策をを継続しており,判決から数年経過していますが,今も平穏に暮らしておられます。

もっとも,窃盗症(クレプトマニア)は,完治が難しいとされ,とにかく継続した治療が重要と言われています。実刑を回避でいたからといって,気を抜くことなく,治療に励んでいただきたく思っています。

【窃盗症にまつわる更なる問題】

窃盗症(クレプトマニア)をめぐる刑事事件は,問題点がかなり多いというのが実情です。

「裁判の時に,せっかくもらった診断書を裁判官に見てもらえないことがある」

検察や警察は『窃盗症』という病について,極めて限定的に捉えている」

という事情などは,いざ当事者となると,嫌というほど大きな壁となって立ちはだかります。

これらの問題点については,またの機会に紹介させていただきます。

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