窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と刑事裁判①|弁護士解説

窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)などの精神疾患が原因で万引き行為に及んでしまい,刑事事件(警察沙汰)になってしまったとき,はじめの数回は不起訴や罰金刑となって,刑事裁判までには至らないことが多いといえます。しかし,万引き依存の状態から抜け出せずに何度も刑事事件になっていると,いずれは刑事裁判になってしまいます。

刑事事件になってしまった時は,刑務所行きが現実的になって来てしまいます。

自らの主張・こちらの言い分をきっちりと話していく必要があります。そして刑事裁判になってしまった時は,より一層,どのような主張を展開していくのかが大切になってきます。

窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と分かってもらえたら無罪???

万引き依存に陥っている方の場合,既に精神疾患での通院をされている方も多く,摂食障害,双極性障害,うつ病,注意欠陥多動性障害などという診断を受けている方もおられるところです。

その他,医師の専門性や当人の状況などにもよりますが,「窃盗症」であるとか「病的窃盗」という診断が出て,診断書をもらえることもあります。

では,そのような診断書がもらえたのであれば,それを裁判所に提出することで,裁判所が窃盗症と理解してくれ,刑事裁判では無罪になるのかというと,それはNOです。

どれだけ病状が重いのかという点も関連してはきますが,基本的には

「窃盗症だから無罪になる」ということはありません。

むしろ,裁判官から「窃盗症だから仕方ないでしょ」というような開き直ったような態度だとみなされてしまうと,窃盗症の主張自体がマイナスになるという場合もあり得るところです。

窃盗症であるという点をどう主張していけばよいのか

ただし,窃盗症という主張がマイナスに働くかもしれないので,そもそも主張をしないというのは,間違いです。

刑事裁判では,裁判官は検察側か弁護側がした主張やそれに基づく証拠からしか判断はしません。

裁判官がこちらの病状を確認するために病院に問い合わせたりというようなことは通常はあり得ません。同じように,警察や検察が,こちらの精神疾患について調査をしてくれるというようなことも,あまり期待できません。むしろ警察側で調査するような時は、「万引き行為に病気の影響はない」というお墨付きを医者からもらおうとしているという場合も多い印象です。

そのため,こちらが何も主張しないでいると,裁判官は窃盗症やその他の精神疾患については何も知ることの無いまま,窃盗症などの精神疾患は無いものとして、何の反省もせずに何度も万引きをする人物という前提で判決を作ってしまいます。

では,どのように主張していけばよいのか。

これは弁護士によって様々なやり方があり,ノウハウの見せ所というところになってきます。

最も重要なのは,窃盗症であるという主張だけするのではなく,「いかにして再犯防止のための行動をとっているのか」という点とセットにして主張するということになります。

大事なのは,裁判官に窃盗症であると認めてもらうことではありません。裁判官に理解してもらうべきは,再犯防止のためにどれだけの具体的な対策を実施・継続しているのかという点になります。

より具体的に,どういう主張がいいのかという点については,【 窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と刑事裁判② 】で案内します。

窃盗症はすぐに専門の弁護士にまでご相談を

家族が窃盗症で逮捕されたという方,自分が窃盗症で捜査対象になっているという方は,すぐに専門の弁護士までご相談ください。窃盗症は,単に法律的な問題を解決するだけでは不十分で,場合によっては医療機関との連携により、再犯をしないという根本的な解決を目指す必要があります。その人にとって,どのようなケアが必要かを総合的に判断する必要がありますので,窃盗症でお悩みの方は同種事例の解決実績が豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所では,窃盗症という特殊事例についての解決実績が豊富にあります。お困りの方は,こちらからお問合せください。

大阪|窃盗事件で警察に呼び出されたら弁護士に相談を

窃盗事件(万引き・クレプトマニア・万引き依存)でお悩みの方へ

窃盗事件で警察から呼び出しを受けた方は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士までご相談ください。窃盗事件とは、いわゆる「万引き」「置き引き」事件も含まれます。店舗から商品を盗んだり、他人の鞄から財布を盗む行為は、窃盗罪という罪に問われることになります。

窃盗罪は、刑法235条に規定された犯罪で、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲内で処罰されることが予定されています。

窃盗事件の中には、クレプトマニア(=窃盗症、病的窃盗,万引き依存)という、違法行為と認識していても窃盗がやめられないケースもあります。事件の早期解決はもちろん、根本的な解決(治療)を図るためにも、できる限り早い段階で専門家(弁護士)に相談されることをおすすめします。

クレプトマニアについては、「大阪で窃盗症・万引き依存症・クレプトマニアの疑いのある方へ|弁護士解説」を参考にしてください。

警察から呼び出しを受けたら?

窃盗事件で被害届が出されると、警察から呼び出しを受けることがあります。例えば、梅田の店舗で万引きをしたのであれば、その地域は曽根崎警察署が管轄していますので、曽根崎警察署が捜査を担当する可能性が高いでしょう。

ある日、曽根崎警察署から連絡があり、「万引きの件で署まで来てほしい。署で話を聞きます」と言われます。突然のことに、頭が真っ白になる方は少なくありません。呼び出しは「任意」ですが、任意だからといって出頭を拒み続ければ、逃亡のおそれがあるとして逮捕されてしまう可能性が高まってしまいます。警察からの呼び出しを無視するのはリスクが高いと言えます。

とはいえ、警察にいくことには勇気がいります。

何を聞かれるのか、どう答えればいいのか、書類に署名を求められたらどうしたらいいのかといったことや、出頭したら逮捕されてしまうのか説いたことも分からないことが多いでしょう。

もし、警察から呼び出しの連絡があった場合は、まず弁護士の法律相談を受け、事前に警察対応について準備しておくことが望ましいです。

窃盗に詳しい弁護士から一言アドバイス

窃盗は、被害者がいる犯罪です。暴行、傷害事件と同じで、被害者へのケアをできるだけ早く行うことが事件解決には大切です。被害者への謝罪と弁償を滞りなく行い、不起訴を目指す(執行猶予を目指す)ためには、窃盗事件に詳しい弁護士に相談することが望ましいです。

窃盗でお悩みの方は、すぐに当事務所までお問合せくださいませ。

大阪で窃盗症・万引き依存症・クレプトマニアの疑いのある方へ|弁護士解説

刑罰は回数を増すごとに厳しくなる

窃盗症・万引き依存症・クレプトマニアは、本人の意思だけでは万引きがやめられない状況です。そのため、どれだけ反省していたとしても,どれだけ家族に迷惑がかかると分かっていても、何度も万引きをしてしまい,何度も警察に捕まってしまうことになります。そして、警察に捕まって刑事事件化する回数が増えれば増えるほど、刑事罰は重くなっていってしまいます。

窃盗症の治療をして、再び万引きをしてしまわないようにする。それが何よりも大切であり、目指すべきところであることは当然です。しかし、それでも万引きをしてしまった場合、今後の人生を踏まえてとにかく刑事罰が軽くなるようにすることはとても大切です。

刑務所に行ったから、罰金を払ったから、反省して再犯しない。そういうものではないのです。

とはいっても、刑罰は回数が増すごとに厳しくなります。現時点で刑務所に行く可能性までは無くとも、万が一、再び万引きに及んでしまえば刑務所に行く可能性があるという状況はよくあるところです。

本人の意思だけでは再犯を防ぎきれないという窃盗症については、再犯の可能性も考えたうえで、毎回の刑事罰の少しでも軽くなるようにする,将来にわたって刑務所行きとなる可能性を少しでも減らすという観点が必須となります。

「今回は執行猶予判決か罰金刑だろうから,刑事裁判にもそんなに力を入れなくてもいいだろう」というような考え方は、後に大きな不利益となって激しく後悔する可能性があります

刑事裁判ではどのような主張をしていくべきかについては

「窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と刑事裁判①|弁護士解説」

をご覧ください。

万引き事件での刑事罰の相場

万引きがやめられないというような窃盗症(万引き依存症・クレプトマニア)では、多くの人が複数回の警察沙汰(逮捕や在宅での取調べ)を経験することになります。

通常、数千円程度までの万引きであれば、初犯の場合は書類送検も無く厳重注意で終わり、2回目以降は書類送検されてからの不起訴処分となることが多くなります。3回目以降となると、罰金刑となる可能性が高くなり、罰金刑の前科がある状態で検挙されてしまうと刑事裁判となる場合が多いといえます。

刑事裁判も、初めての刑事裁判であれば執行猶予が付くことがほとんどであり、とりあえずは刑務所に行くようなことにはなりませんが、執行猶予中の再犯や、執行猶予があけていたとしても10年も経過していないような状況の場合は、実刑(刑務所に収監)という可能性が出てくることになります。

ざっくりとした刑事罰の相場を整理しますと

警察沙汰になるのが2回目以降の場合は罰金刑の可能性があり

一度罰金刑を受けている場合に再度警察沙汰となったときには刑事裁判となる可能性があり

刑事裁判が2回目以降という場合には刑務所行きの可能性がある

ということになります。

重要なのは、その時々の状況に応じて、極力

罰金刑とならないようにすること

刑事裁判にならないようにすること

です。

一度刑事裁判を受けるようなことになってしまうと、この先10年程度は「次は刑務所行き(実刑判決)」という状況のまま過ごさないといけなくなってしまいます。

少しでも刑事罰を軽くするにはどうすればいいかについては

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア)による万引き事件を弁護士に相談すべき理由

をご覧ください。

窃盗症・クレプトマニアに詳しい弁護士に相談する

窃盗症・クレプトマニアは単なる窃盗事件とは異なります。病的症状改善のために、ケースによっては専門の医療機関やカウンセリング機関と連携して更生を図る必要があります。窃盗症で刑事事件になっている方は、まずこの症状に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所では、窃盗症・クレプトマニア事件に力を入れており、この分野に詳しい弁護士が事件を担当(相談を担当)させていただきます。一人で悩むことなく、まずはお気軽に当事務所までお問合せください。

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存)による万引き事件を弁護士に相談すべき理由

窃盗症を疑うべきパターンとは

・ 特にお金に困っているわけでもない

・ これ以上罪を重ねれば実刑(=刑務所行き)の可能性が高い

・ 特に欲しい物でもない

これらに一つでも当てはまるのに,それでも万引きをしてしまう,万引きをしたいという衝動が止まらない,このような場合は,窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存症)を疑ってみて下さい。

ご家族の方も,どう考えても割に合わない万引きを何度も繰り返すというような状況に陥っておられる家族がいるならば,まずは窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存症)を疑ってみて下さい。

窃盗症( 病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存症 )は,ごく簡単に説明すると,精神疾患の影響で,万引きをしたいという衝動が止まらず,結果,何度も万引きを繰り返してしまうという症状です。私が見てきた窃盗症の診断を受けている方々の特徴としては,一見すると精神疾患があるようには見えないものの,財布に何万円も入っているのに数千円の衣服や数百円の食料を万引きしてしまうというのが典型的で,こっそりカバンの中に商品を入れるというような万引きだけでなく,もはや持ち去りともいえるレベルで堂々と,豪快に商品を持ち帰るようなケースも多くあります。

摂食障害やうつ病などの別の精神疾患を持つ方も多いという特徴もあります。

窃盗症の診断が出ている方に話を聞いてみると,

① 「次に万引きで捕まった場合には刑務所に行くことになる」ということは重々承知している。

② しかし,いざ店に入って,「万引きをしたい」というスイッチが入ると,他のこと(逮捕されるかもしれないということや,家族にどれほどの迷惑をかけるのかということさえも)は考えられず,とにかく商品を盗りたい,そのことしか考えられない

③ 盗った後には,仮にそれが発覚しなかったとしても,凄まじい後悔の念が襲ってくる

という方が多いです。

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア)についての刑事事件上の扱い

このような窃盗症ですが,窃盗症であるからといって,罪ではなくなる・刑が免除されるなどということは,なかなかありません。たとえ医師による診断が明確に出ていてもそれは変わりません。

最近では,有名人が自身の窃盗症を告白するなど,徐々に,社会的にも窃盗症という症状が認知されつつあるようには思います。ただ,刑事事件の現場(被害店舗・警察・検察・裁判所)では,未だそこまでの理解は無く,「反省なく何度も窃盗を繰り返している」というような扱いがなされてしまうことも多いのが実情です。

とはいえ,

不起訴(=前科が付かない)となるか,罰金刑となるかというギリギリの案件

罰金刑で留まれるのか,刑事裁判になってしまうのかというギリギリの案件

実刑(=刑務所行き)か執行猶予かのギリギリの案件

執行猶予中の再犯

などでは,窃盗症という精神疾患的要素が考慮され,処罰を軽減してもらえたり,刑務所に行かなくてもよくなったというようなケースもあります。

そのために,主張し,立証していくべきは

① 窃盗症であるということ,② それを本人が自覚し,意欲的に治療していること, ③ 再犯防止策が徹底されていること 

ということになります。

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア)事案を弁護士に相談すべき理由とは

窃盗症事案を弁護士に相談・依頼すべき理由は,

刑事罰軽減のための主張・立証を手助けしてもらう

ということに尽きます。

例えば,窃盗症であるということを立証しようとすると,それは医者に診断書を書いてもらってそれを提出するという方法が典型的です。しかし,窃盗症を取り扱っている医師は非常に少なく,まずは医師探しの難航が予想されます。そして,仮にそういう医師を見つけたとしても,どういう風に医師にお願いすればいいのか裁判で使ってもらいやすい書面にするにはどうすればいいのか,裁判で医師に証人として来てもらうことは出来るのだろうか,裁判官に窃盗症を理解してもらうにはどういうことが必要なのか・・・

という具合に様々なノウハウが必要になります。

この他にも,本人が症状をいかに理解し,治療に取り組んでいるのかという点を立証するのは意外と難しかったりもします。

それをサポートするのが弁護士ということになります。そして,窃盗症などに関しては通常の刑事裁判とは異なる要素が多分にあるため,相談・依頼する弁護士は窃盗症などに詳しい弁護士であるに越したことはありません。

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万引きを繰り返す窃盗症(クレプトマニア・病的窃盗)で刑務所に行かないために・弁護士に依頼する理由

万引きがやめられない方へ|窃盗症(クレプトマニア・万引き依存)を疑って

特にお金が無いというわけでもないのに万引きを繰り返してしまう,警察に何度も逮捕され「次は刑務所行きだ」と言われているのに万引きが止まらない,このような症状に自覚のある方,もしくは家族にその疑いがある方は,まずは精神疾患を疑ってください。

ほとんどの方は,窃盗症・クレプトマニアではないかと指摘されたとき,「そんなはずは無い」と否定されることが多いという印象です。しかし,自分以外の人にそうではないかと思われている以上,まずは医師に診てもらうということくらいはしてみるべきです。

病的窃盗・窃盗症・クレプトマニア・万引き依存症。名称は色々ありますが,もしそういった精神疾患から万引きの衝動が来ている場合,「意思をしっかりと持つ」とか「気の持ちよう」など,本人の努力だけでは万引きは止まりません。家族を大切に思っているとかそういうこととは無関係に万引きの衝動が抑えられないのです。

思い違いならそれでいいのです。ただ、その前に、一度だけでも、自分や家族が窃盗症である可能性、この可能性を考えてみてください。

万引きの回数を重ねれば重ねるほど,刑務所に行くことになってしまう(=実刑判決)可能性は上がってしまいます。

万引きと刑事事件について

万引きというのはあくまでも通称であり,物を盗む行為は窃盗罪(刑法235条)となる行為です。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっており、決して軽い犯罪ではありません。逮捕されてしまうことも当然ありますし,罪を重ねれば刑務所に行くようなこともあります。

刑事罰の量刑相場

と言っても,万引きするとすぐに刑務所行きになるのかと言えばそうではありません。盗んだ物の価格,盗み方,被疑弁償等の有無,余罪といった色々な事情が処罰の軽重を決める判断要素となりますが,とりわけ大きな意味を持つのは前科の状況です。

これまでに万引き以外の前科が無いような方のケースでは,

警察を呼ばれて刑事事件化した場合,それが初回であれば多くの場合で微罪処分もしくは不起訴となり,その時点では前科とはなりません。

しかし,刑事事件化が2回目以降となると罰金刑となることが多く,さらに進んで3回目から4回目の刑事事件化となると,刑事裁判を受けることになるという流れが一般的です。

刑事裁判になったときは,1回目の刑事裁判であれば執行猶予が付くことで,実刑判決(=刑務所行き)は免れるというケースが多く,2回目以降は刑務所行き(実刑)の可能性が出てきます。前回の執行猶予判決の期間が終わらないうちの再犯というような場合には,実刑判決の可能性がかなり高くなってきます。

刑事事件と病的窃盗(窃盗症・クレプトマニア)

近年は,「窃盗症」,「クレプトマニア」,「病的窃盗」,「万引き依存症」という言葉を聞く機会も増えてきたように思います。こういう病気が存在すること,万引きを止められないという症状の人がいるということが世間一般に周知されるのは良い面もあります。しかし,刑事事件の場においては,警察・検察・裁判所,更に言うならば被害者となるお店においても,現状ではそこまで理解が進んでいないというのが弁護士としての正直な印象です。

これは,警察等が窃盗症などというものをそもそも知らないという場合だけでなく,ごく一部に刑罰軽減を狙って窃盗症を虚偽主張する人がいるという事情もあるように思います。他にも,窃盗症などでいかに精神疾患があったとしても,通常の生活ができていて錯乱状態のようにまではならないことがほとんどですので,周りから見ているだけでは「本当に病気か?」と疑われやすいという事情もあります。

お店の人からしても,窃盗症だクレプトマニアだと言われたところで、被害は減らないという事情もあり,それはそれでその通りだという側面もあります。

いずれにしても,刑事事件としては,「万引き=行ってはいけない」ということ自体は理解したうえでの犯行という点が強調され,「依存等の事情が存在するとしても,悪いことをしている認識はあったのだから処罰するべきだ」という結論に至りやすいという事情があります。

しかし,こういった中であっても,自らの病的要素を認め,真摯に再犯防止のための治療に取り組んでいるということを評価し,通常であれば実刑判決(刑務所行き)が出るようなケースであっても,執行猶予判決が出るケースが少しずつですが着実に出てきているところです。

病的窃盗(窃盗症・クレプトマニア)という事情をどう主張するか ・弁護士に依頼する意味

担当の警察官や検察官,裁判官に自分が窃盗症であること,そしてその治療をしっかりと行っていることを伝えるのは極めて重要です。しかし,単に口で説明しても,理解してもらうのは難しいでしょう。

最善は,窃盗症の刑事事件に詳しい弁護士に依頼してどのようにしたらよいのかアドバイスをもらいつつ,ともに裁判対策をすることです。

どういう形で,自分の思いや,自分の症状,治療への決意を伝えるのかは非常に難しい面もありますが,弁護士のアドバイスをもらって,しっかりと主張をする,弁護士からも書面を提出してもらう,そういうことが何より重要です。

刑事罰を決めるにあたって重要な役割を担う検察官や裁判官は,あなたのことについて,ほとんど何も知りません。検察官なら,取調べの時にせいぜい1時間程度話すくらいでしょうし,裁判官に至っては,裁判の日まで会うこともなく,裁判の時でもあなたと話をする時間は30分も無い場合がほとんどです。

処罰内容を決める人たちと話すことができる時間が極めて限られている状況ですので,まずは、こちらの話を聞いてもらえる時間についてはフル活用が必須ですし,加えて,それ以外の聞いてほしい事情などについては,あらかじめ用意した書面をしっかり見てもらう。そのようにして自分を理解してもらうしかありません。

どのような書面を用意するのか,どのようにして裁判官に事情を伝えるのか,この辺りのノウハウについては,弁護士によってかなり異なると考えられます。弁護士にも,こういう場合にどうしろというはっきりした教科書などはありませんので,それぞれが考え,それぞれ工夫しているというところになります。

当法律事務所では , これまで数多くの万引き事案の刑事弁護を担当させていただきました。単に法律的なアドバイスだけでなく , 万引きをしてしまうことに怯えなくてすむ生活に戻れるよう最善の方法をご提案させていただきます。無料相談はメールでも受け付けていますので 窃盗症等でお困りの方は以下のページよりお問い合わせください。

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家族が窃盗で逮捕されてしまったという方は,こちらの緊急窓口よりご連絡ください。

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解決事例①窃盗症(クレプトマニア・病的窃盗)による再犯で再度の執行猶予  

執行猶予中の再犯で,再度の執行猶予判決となった窃盗症(クレプトマニア)事案

【依頼前の状況】

お金は十分にあり,食べ物に困っているような状況でもない。

そのような状況下で,過去に何度も万引き(窃盗)をしてしまう。何度も逮捕され,執行猶予判決を受けていた。

そのような方が,その執行猶予期間中に,再び万引きで逮捕されたとのことで,ご家族がご相談に来られました。逮捕された方は,拒食症等の症状もあり,体調にも不安があるため,このまま長期間,留置場での生活をすると体力的にも心配という状況でした。

【依頼を受けてから】

まずは早期の身柄解放が必須であると考えました。

そこで,ご家族の方々に,身元引受け書や,家族で面倒を見るという宣誓書などを用意してもらい,それを持って,私から,裁判官に「本人が釈放されても家族が面倒を見る」ということなどを中心にアピールをしました。その結果,検察官の勾留請求はみとめられず,警察署に一泊しただけで釈放となり,まずは自宅に戻ってもらうことができました。

早期釈放が叶ったのは,家族の方が,逮捕されて早々に相談に来ていただいたおかげで,裁判官が勾留決定(10日間留置場にいなさいという決定)をしてしまう前に,裁判官を説得できた,これに尽きます。

警察署の留置場に少なくとも10日間入るのと,1泊だけで出られるのでは,仕事面・健康面などあらゆる面で大きく異なるであろうことは明白です。

ただ,一旦釈放となっても事件は終わっていません。

今回のケースは,執行猶予中に同じ罪を犯してしまった(執行猶予中の再犯)というケースであり,このまま反省だけを述べて裁判を受けても,実刑判決(刑務所行き)が出る可能性が高いケースです。

今回のケースでは,

「特にお金に困っていない」

「刑務所行きになるということが分かっていても,盗りたいという思いを止めることができない」

「拒食症の症状がある」

というような事情がありましたので,単純に物欲しさによる窃盗ではないということが明白でした。加えて,過去に私が見てきた窃盗症を患っている方々との共通点も多々あったことから,この方も窃盗症(クレプトマニア)なのではないかと考えました。

そうはいっても,医師ではない私が勝手に窃盗症(クレプトマニア)を疑ったところで確証がありません。まずは専門医に診てもらう必要があります。

しかし,窃盗症を専門にしている精神科医の数は,患者の数に比して極めて少なくで,ようやく医師を見つけたとしても,予約がいっぱいで,なかなか診てもらえないというのが実情です。

そのような中,なんとか専門医を紹介し,診てもらうところまでこぎ着けたところ,やはり窃盗症(クレプトマニア)という診断が出ました。そこからは,週に一度の「通院」・「自助グループミーティングへの参加」・「家族同伴以外では外出させないような仕組みづくり」などを徹底してもらうようにしました。

その後に始まった刑事裁判では,そういった治療内容や,再発防止に向けた取り組みなどを報告書にまとめて提出し,加えて,ご家族にも裁判所に出てきてもらい,証人として裁判官の前で,徹底した監督を約束してもらうなど,できることは徹底的に行いました。

そういった活動が奏功し,執行猶予中の再犯でありながら,「再度の執行猶予判決」を勝ち取ることができました。

判決で,裁判官が「できることはやり尽くしている」と評価してくれたことが印象に残っています。

この方は,判決後も治療行為や再犯防止策をを継続しており,判決から数年経過していますが,今も平穏に暮らしておられます。

もっとも,窃盗症(クレプトマニア)は,完治が難しいとされ,とにかく継続した治療が重要と言われています。実刑を回避でいたからといって,気を抜くことなく,治療に励んでいただきたく思っています。

【窃盗症にまつわる更なる問題】

窃盗症(クレプトマニア)をめぐる刑事事件は,問題点がかなり多いというのが実情です。

「裁判の時に,せっかくもらった診断書を裁判官に見てもらえないことがある」

検察や警察は『窃盗症』という病について,極めて限定的に捉えている」

という事情などは,いざ当事者となると,嫌というほど大きな壁となって立ちはだかります。

これらの問題点については,またの機会に紹介させていただきます。

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