盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)で逮捕される場合
盗撮行為が発覚する場面は様々です。駅のエスカレーターで前にいる女性のスカート内部をスマホで撮影してしまったという盗撮行為の場合,盗撮行為そのものが被害者本人に発覚する場合もあれば,近くにいた人に気付かれるという場合,張り込んでいた鉄道警察などに見つかるという場合など,色々な場面が想定されます。
盗撮行為が発覚して警察が来た場合,必ず逮捕されるのでしょうか。
その答えは,必ず逮捕されるとは限らない ということになります。
逮捕するかどうかの判断は,大まかには,対象者が犯罪行為を行ったという前提のもと,「逃亡する恐れがあるか」,「証拠を隠滅するような恐れがあるか」という点を中心に検討されることになります。
「逃亡の恐れ」については,住居がはっきりしているかどうか,定職についているかどうか,同居人がいるかどうかというような要素が検討されます。
「証拠隠滅の恐れ」については,被害者に対して被害届の取り下げを迫るなどの行為に出ないか,盗撮データ(過去の盗撮分も含めて)を消去するなどの可能性がないかというような要素が検討されます。
盗撮(撮影罪【性的姿態等撮影罪】)で逮捕されるかどうかの相場観
盗撮で逮捕に至るかどうかについて,あえて具体例を挙げていくとすると
① 発覚当初に逃げようとするような行為に出ていない
② 盗撮行為自体を認めている
③ 盗撮行為に用いたスマホなどを素直に渡し,パスワードロック解除にも応じている
④ 被害者が知人などでは無い(被害者との接触可能性が無い)
⑤ 安定した職に就いている
⑥ 住居がはっきりしており,同居人もいる
これらを満たしているようなときには,逮捕されない場合も比較的多いように思われます。
次に,逮捕されなかった場合の展開と,逮捕された場合の展開について説明していきます。
逮捕されなかった場合
逮捕されなかったからといっても,刑事事件として終わりになるわけではありません。単に,取調べなどの捜査を在宅(=逮捕されない)状態で行うということです。
警察の忙しさ・事案の複雑さなどにもより,呼び出されるまでの期間や呼び出しの回数は異なりますが,多くの場合は,数日後に呼び出しを受けて出頭し,取調べを受けたり,犯行の再現をするなどを数日に分けて数回実施した後,書類送検がなされ,その後の検察官の判断で略式請求で罰金となるか,悪質性や前科の状況次第では公判請求(=刑事裁判)となるのかが決められることになります。
事件発覚から処分が決まるまで早くても2か月くらいはかかることが多く,半年以上かかるというケースもよくあります。
盗撮での前科が気になる方は,「盗撮で前科を付けないためには」もご覧ください。
逮捕された場合
盗撮の場合は,逮捕されたからといって,そのまま20日程度の身体拘束が確定したというわけではありません。確かに,逮捕から勾留に至り,逮捕から数えて最大23日間は出てこれないということになる場合もあります。
しかし,盗撮の場合,警察署の留置場で1泊だけして釈放されるというパターンも多く,2泊程度での釈放(送検されたが勾留無し)というケースも比較的あるところです。
そのため,逮捕されたことを知った家族の方も,職場などにすべてを伝えるのは少し待った方がいい場合も多いのです。あわてて,逮捕されたこと等を職場に連絡した後に,すぐ本人が帰ってきたというような場合もあり,わざわざ慌てて報告しなければ職場に知られずに済んだというようなこともあります。
家族が逮捕された場合には,まず「家族が逮捕されたとき,これだけはやめて!」をご一読の上、無料相談の窓口までお問い合わせください。
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逮捕された場合についても,取調べ等が行われた後に,検察官が処分を決めるという流れは基本的に同じです。ただ,逮捕されている場合は逮捕から最大23日,それまでの間に検察官は起訴するのかしないのか,起訴するとしても罰金か刑事裁判にするのかを決めなくてはなりませんので,事件処理の進み具合が逮捕されていない場合に比して圧倒的に早くなります。
逮捕された場合でも,前科を付けないためにするべき行動は,逮捕されていない場合とおおむね共通しています。
被害者の方と示談などをして不起訴処分にすることなどを求めたい場合には,この短い期間内に示談をする必要があります。示談などを望む場合には,とにかく時間がありませんので,早め早めに手を打つ必要があります。
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