公然わいせつ罪で前科をつけないためには

公然わいせつ罪とは 弁護士解説

公然わいせつ罪は,不特定または多数の人が認識できる状況でわいせつな行為をすると成立します。公然わいせつ罪の典型例としては,駅や商業施設など,人の多くいるような場所で下半身を露出させるというようなものがあります。特殊な例としては,乱交パーティー等で公然わいせつ罪が成立する場合もあります。

公然わいせつ罪の法定刑

 公然わいせつ罪は,刑法第174条にて

  ① 六月以下の懲役

  ② 30万円以下の罰金

  ③ 拘留

  ④ 科料

のいずれかに処するとされています。

公然わいせつ罪における刑事罰の相場観

どのような罪にも言えることですが,実際どのような刑事罰となるかというのは,法定刑だけでは確認しても分かりません。法定刑は,あくまでも刑事罰の範囲を示しているに過ぎません。当事者の立場になったときに一番気になるのは,自分の置かれている状況下で,どのくらいの刑罰になるのかということではないでしょうか。

公然わいせつでいうならば,どれだけの規模でわいせつ行為を行ったのか,どれだけの人がそのわいせつ状態を見たのか,計画的犯行なのか,捕まるまでに同じようなことをどれだけやってきているのか,本人が反省しているのか,前科はどうかなど,色々な要素をもとに,どれくらいの刑罰に処されるのかが決まっていきます。そして、そこにはある種の相場のようなものがあります。

公然わいせつ罪の場合,前科なし(初犯)で,1件から数件までの件数で下半身露出を行ったというケースの場合は,通常は罰金刑ということになります。

少し進んで,公然わいせつの前科が10年程度以内にあるにもかかわらず,再度公然わいせつ罪で刑事事件化した場合には,刑事裁判にかけられる可能性が高く,刑事裁判になることが初めてということであれば,執行猶予が付くのが通常です。

更に進んで,執行猶予中に再犯をしたり,執行猶予期間が終了していても何年も経っていなかったりすると,実刑判決(=刑務所にて服役)の可能性が高くなります。

公然わいせつ罪で前科をつけないためには

公然わいせつは,初犯でも罰金刑になることが多い犯罪です。罰金刑になるということは前科が付くということです。

では,公然わいせつ罪で前科をつけない(=不起訴処分)ためにはどうすればいいか。それは,

被害者(目撃者)との示談を成立させること

となります。

もちろん,露出してしまうのが精神疾患によるものなのであればその治療をすることや,反省をきっちりすることも重要です。ただ,それだけでは不起訴処分の決定打になりえない場合も多々あります。

 公然わいせつ罪は,公衆の性的感情に対する罪ということで,「社会に対する罪」という捉え方がされます。それにより,刑事事件の実務上は,わいせつ行為等を見てしまった人は「被害者」ではなく「目撃者」という扱いになります。そういう事情もあって,検察官によっては,示談をしても,「それは厳密には被害者との示談ではない」と指摘される場合もあります。

 とはいえ,私の経験上,それを踏まえたうえでも,検察のいう「目撃者(≠被害者)」と示談が成立し,検察官に適切に報告した場合には,不起訴処分とされる可能性が比較的高いというのも事実です。

示談の際の注意点・示談書の書き方などについては【示談と示談書の解説|前科回避に向けて】

公然わいせつ罪で前科の回避が難しいケース

公然わいせつ罪の典型例は,駅や商業施設などでの下半身露出であるというのは先ほど紹介しました。この際,多くの人がいる中でも,特定の人物に絞って露出するなどした場合には,被害者(目撃者)が誰なのかがはっきりしますが,下半身露出状態のまま走り回ったというような犯行態様の場合には,被害者(目撃者)が多数に上り,誰と示談していいのかが分からないというような状況に陥ってしまうことがあります。

この場合,示談は難しくなるでしょう。

また,仮に何とか被害者(目撃者)全員を見つけ出して全員と示談できたとしても,被害者多数ということで犯行が悪質と判断され,検察官から,いくら示談しても罰金刑は受けてもらうという判断をされてしまいやすいと考えられます。

その他,乱交パーティーなどで検挙された場合には,パーティー参加者各々については加害者でありつつも,形式上は被害者の側面があるというような複雑な状態になってしまいます。このような場合も示談というのは想定しにくいといえます。

示談が無理な場合でも,いかに反省しているのかという点を検察官にきっちり伝えることだけでなく,社会に対する罪ということで例えば寄付を行う,異常性癖などが原因であるならばその治療を行うなど,少しでも不起訴処分となる可能性が高まる行動はするべきと言えます。もっとも,示談無しでの不起訴処分はかなりハードルが高いというのが実情です。

示談をするために弁護士は必要か

やはり刑事事件に精通した弁護士に依頼して,被害者と話をしてもらうというのが王道です。

刑事事件,とりわけ性犯罪に分類される事件については,加害者がいくら求めても,被害者側が加害者本人と直接話をしてくれるという可能性は極めて低いといえます。基本的には警察を介して被害者側の連絡先を聞くというようなことになりますが,ほとんどの場合,被害者に連絡先の開示を断られると思われます。このようなとき,「弁護士限りでいいから連絡先を教えてほしい」と持ち掛けると,弁護士限りで連絡先を知ることができる場合があります。

このようなケースではやはり弁護士に依頼して,刑事事件的に意味のある示談書を取り交わし,それを適切に検察官に提出するということが重要です。

示談の期限

前科をつけない(=不起訴処分)ためには,検察官が処分を決めてしまう前までに,被害者と示談をして,それを検察官に報告する必要があります。

検察によって罰金刑という処分がなされてしまい,それが確定してしまうと,後から示談できましたといくら報告しても,その罰金刑が取り消しになるということはありません。

具体的な期限は,身柄が拘束されたまま事件が進んでいるような場合は,勾留や勾留延長の期限が終わるまで(実際には逮捕直後から早急に動く以外にはありません)。

身体拘束がされずに事件が進んでいる場合は,警察での捜査が終わり,書類送検された後に検察から呼び出されるまでが,一応の期限と考えて下さい。

示談には被害者のためになるという側面も

示談というと,「犯罪をしたくせに往生際が悪い」とか,「反省が見られない」というような発想になる方もおられるところです。

ただ,被害者の立場で考えると,加害者側が示談など何も持ち掛けない場合には,「自分に下半身を露出してきた者が,とりあえず捕まって,とりあえず罰金刑になったらしい」ということが知らされる程度で,特に具体的な救済などは無いのが実情です。警察の捜査協力のために時間を使ったことに対する補償は無く,怖い思いをしたり,いつ犯人が自分の前に現れるかもしれないという恐怖,それらに対する救済はありません。

加害者側からどのような示談を持ちかけるかにもよりますが,示談をする場合は,金銭保証は当然のこと,加害者側から二度と近づかないという約束をすることで,被害者に少しでも安心してもらうことが出来る場合もあります。

被害者が何を望むのかというのはそれぞれではありますが,犯人が罰金刑になったからと言ってそれだけでは特に意味が無いと感じる被害者からすると,示談を持ちかけるということは,被害者のためになるという側面もあります。

刑事事件はどれだけ早い段階で弁護士に相談するかで,その後の展開が変わります。ご自身が公然わいせつ容疑で警察に呼び出しを受けている方,家族が逮捕されてしまったという方は,すぐに当事務所までご連絡ください。

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