窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と刑事裁判①|弁護士解説

窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)などの精神疾患が原因で万引き行為に及んでしまい,刑事事件(警察沙汰)になってしまったとき,はじめの数回は不起訴や罰金刑となって,刑事裁判までには至らないことが多いといえます。しかし,万引き依存の状態から抜け出せずに何度も刑事事件になっていると,いずれは刑事裁判になってしまいます。

刑事事件になってしまった時は,刑務所行きが現実的になって来てしまいます。

自らの主張・こちらの言い分をきっちりと話していく必要があります。そして刑事裁判になってしまった時は,より一層,どのような主張を展開していくのかが大切になってきます。

窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と分かってもらえたら無罪???

万引き依存に陥っている方の場合,既に精神疾患での通院をされている方も多く,摂食障害,双極性障害,うつ病,注意欠陥多動性障害などという診断を受けている方もおられるところです。

その他,医師の専門性や当人の状況などにもよりますが,「窃盗症」であるとか「病的窃盗」という診断が出て,診断書をもらえることもあります。

では,そのような診断書がもらえたのであれば,それを裁判所に提出することで,裁判所が窃盗症と理解してくれ,刑事裁判では無罪になるのかというと,それはNOです。

どれだけ病状が重いのかという点も関連してはきますが,基本的には

「窃盗症だから無罪になる」ということはありません。

むしろ,裁判官から「窃盗症だから仕方ないでしょ」というような開き直ったような態度だとみなされてしまうと,窃盗症の主張自体がマイナスになるという場合もあり得るところです。

窃盗症であるという点をどう主張していけばよいのか

ただし,窃盗症という主張がマイナスに働くかもしれないので,そもそも主張をしないというのは,間違いです。

刑事裁判では,裁判官は検察側か弁護側がした主張やそれに基づく証拠からしか判断はしません。

裁判官がこちらの病状を確認するために病院に問い合わせたりというようなことは通常はあり得ません。同じように,警察や検察が,こちらの精神疾患について調査をしてくれるというようなことも,あまり期待できません。むしろ警察側で調査するような時は、「万引き行為に病気の影響はない」というお墨付きを医者からもらおうとしているという場合も多い印象です。

そのため,こちらが何も主張しないでいると,裁判官は窃盗症やその他の精神疾患については何も知ることの無いまま,窃盗症などの精神疾患は無いものとして、何の反省もせずに何度も万引きをする人物という前提で判決を作ってしまいます。

では,どのように主張していけばよいのか。

これは弁護士によって様々なやり方があり,ノウハウの見せ所というところになってきます。

最も重要なのは,窃盗症であるという主張だけするのではなく,「いかにして再犯防止のための行動をとっているのか」という点とセットにして主張するということになります。

大事なのは,裁判官に窃盗症であると認めてもらうことではありません。裁判官に理解してもらうべきは,再犯防止のためにどれだけの具体的な対策を実施・継続しているのかという点になります。

より具体的に,どういう主張がいいのかという点については,【 窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と刑事裁判② 】で案内します。

窃盗症はすぐに専門の弁護士にまでご相談を

家族が窃盗症で逮捕されたという方,自分が窃盗症で捜査対象になっているという方は,すぐに専門の弁護士までご相談ください。窃盗症は,単に法律的な問題を解決するだけでは不十分で,場合によっては医療機関との連携により、再犯をしないという根本的な解決を目指す必要があります。その人にとって,どのようなケアが必要かを総合的に判断する必要がありますので,窃盗症でお悩みの方は同種事例の解決実績が豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所では,窃盗症という特殊事例についての解決実績が豊富にあります。お困りの方は,こちらからお問合せください。

大阪|窃盗事件で警察に呼び出されたら弁護士に相談を

窃盗事件(万引き・クレプトマニア・万引き依存)でお悩みの方へ

窃盗事件で警察から呼び出しを受けた方は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士までご相談ください。窃盗事件とは、いわゆる「万引き」「置き引き」事件も含まれます。店舗から商品を盗んだり、他人の鞄から財布を盗む行為は、窃盗罪という罪に問われることになります。

窃盗罪は、刑法235条に規定された犯罪で、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の範囲内で処罰されることが予定されています。

窃盗事件の中には、クレプトマニア(=窃盗症、病的窃盗,万引き依存)という、違法行為と認識していても窃盗がやめられないケースもあります。事件の早期解決はもちろん、根本的な解決(治療)を図るためにも、できる限り早い段階で専門家(弁護士)に相談されることをおすすめします。

クレプトマニアについては、「大阪で窃盗症・万引き依存症・クレプトマニアの疑いのある方へ|弁護士解説」を参考にしてください。

警察から呼び出しを受けたら?

窃盗事件で被害届が出されると、警察から呼び出しを受けることがあります。例えば、梅田の店舗で万引きをしたのであれば、その地域は曽根崎警察署が管轄していますので、曽根崎警察署が捜査を担当する可能性が高いでしょう。

ある日、曽根崎警察署から連絡があり、「万引きの件で署まで来てほしい。署で話を聞きます」と言われます。突然のことに、頭が真っ白になる方は少なくありません。呼び出しは「任意」ですが、任意だからといって出頭を拒み続ければ、逃亡のおそれがあるとして逮捕されてしまう可能性が高まってしまいます。警察からの呼び出しを無視するのはリスクが高いと言えます。

とはいえ、警察にいくことには勇気がいります。

何を聞かれるのか、どう答えればいいのか、書類に署名を求められたらどうしたらいいのかといったことや、出頭したら逮捕されてしまうのか説いたことも分からないことが多いでしょう。

もし、警察から呼び出しの連絡があった場合は、まず弁護士の法律相談を受け、事前に警察対応について準備しておくことが望ましいです。

窃盗に詳しい弁護士から一言アドバイス

窃盗は、被害者がいる犯罪です。暴行、傷害事件と同じで、被害者へのケアをできるだけ早く行うことが事件解決には大切です。被害者への謝罪と弁償を滞りなく行い、不起訴を目指す(執行猶予を目指す)ためには、窃盗事件に詳しい弁護士に相談することが望ましいです。

窃盗でお悩みの方は、すぐに当事務所までお問合せくださいませ。

大阪で窃盗症・万引き依存症・クレプトマニアの疑いのある方へ|弁護士解説

刑罰は回数を増すごとに厳しくなる

窃盗症・万引き依存症・クレプトマニアは、本人の意思だけでは万引きがやめられない状況です。そのため、どれだけ反省していたとしても,どれだけ家族に迷惑がかかると分かっていても、何度も万引きをしてしまい,何度も警察に捕まってしまうことになります。そして、警察に捕まって刑事事件化する回数が増えれば増えるほど、刑事罰は重くなっていってしまいます。

窃盗症の治療をして、再び万引きをしてしまわないようにする。それが何よりも大切であり、目指すべきところであることは当然です。しかし、それでも万引きをしてしまった場合、今後の人生を踏まえてとにかく刑事罰が軽くなるようにすることはとても大切です。

刑務所に行ったから、罰金を払ったから、反省して再犯しない。そういうものではないのです。

とはいっても、刑罰は回数が増すごとに厳しくなります。現時点で刑務所に行く可能性までは無くとも、万が一、再び万引きに及んでしまえば刑務所に行く可能性があるという状況はよくあるところです。

本人の意思だけでは再犯を防ぎきれないという窃盗症については、再犯の可能性も考えたうえで、毎回の刑事罰の少しでも軽くなるようにする,将来にわたって刑務所行きとなる可能性を少しでも減らすという観点が必須となります。

「今回は執行猶予判決か罰金刑だろうから,刑事裁判にもそんなに力を入れなくてもいいだろう」というような考え方は、後に大きな不利益となって激しく後悔する可能性があります

刑事裁判ではどのような主張をしていくべきかについては

「窃盗症(万引き依存・クレプトマニア)と刑事裁判①|弁護士解説」

をご覧ください。

万引き事件での刑事罰の相場

万引きがやめられないというような窃盗症(万引き依存症・クレプトマニア)では、多くの人が複数回の警察沙汰(逮捕や在宅での取調べ)を経験することになります。

通常、数千円程度までの万引きであれば、初犯の場合は書類送検も無く厳重注意で終わり、2回目以降は書類送検されてからの不起訴処分となることが多くなります。3回目以降となると、罰金刑となる可能性が高くなり、罰金刑の前科がある状態で検挙されてしまうと刑事裁判となる場合が多いといえます。

刑事裁判も、初めての刑事裁判であれば執行猶予が付くことがほとんどであり、とりあえずは刑務所に行くようなことにはなりませんが、執行猶予中の再犯や、執行猶予があけていたとしても10年も経過していないような状況の場合は、実刑(刑務所に収監)という可能性が出てくることになります。

ざっくりとした刑事罰の相場を整理しますと

警察沙汰になるのが2回目以降の場合は罰金刑の可能性があり

一度罰金刑を受けている場合に再度警察沙汰となったときには刑事裁判となる可能性があり

刑事裁判が2回目以降という場合には刑務所行きの可能性がある

ということになります。

重要なのは、その時々の状況に応じて、極力

罰金刑とならないようにすること

刑事裁判にならないようにすること

です。

一度刑事裁判を受けるようなことになってしまうと、この先10年程度は「次は刑務所行き(実刑判決)」という状況のまま過ごさないといけなくなってしまいます。

少しでも刑事罰を軽くするにはどうすればいいかについては

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア)による万引き事件を弁護士に相談すべき理由

をご覧ください。

窃盗症・クレプトマニアに詳しい弁護士に相談する

窃盗症・クレプトマニアは単なる窃盗事件とは異なります。病的症状改善のために、ケースによっては専門の医療機関やカウンセリング機関と連携して更生を図る必要があります。窃盗症で刑事事件になっている方は、まずこの症状に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

当事務所では、窃盗症・クレプトマニア事件に力を入れており、この分野に詳しい弁護士が事件を担当(相談を担当)させていただきます。一人で悩むことなく、まずはお気軽に当事務所までお問合せください。

示談と示談金相場の解説|前科回避に向けて

刑事事件における示談の意味と,刑事事件として意味のある示談書については,「示談と示談書 弁護士解説」にて解説させていただきました。

示談において,次に重要な要素,それは示談金です。

刑事事件では,加害者が被害者に対して怪我をさせたり,恐怖を与えたり,嫌な思いをさせたりすることが多く,示談の際には,その賠償金として示談金を支払うということが基本となります。

ではその示談金の額はどのようにして決まるのでしょうか。示談金相場というものは存在するのか。解説していきます。

示談金の決まり方

刑事事件における示談を加害者側視点で見た場合,例えば,100万円の物を壊したから100万円を弁償するというだけでは足りません

刑事事件における示談の場合には,賠償金を払うということだけでなく、被害者の方に,「加害者の刑事処罰は望みません」という意思表示をしてもらう(=刑事事件として意味のある示談書を取り交わす)ことを目指す必要があります。

目指すべきところは,刑事事件として意味のある示談書を取り交わしてもらうことです。

まず,把握しておくべきは,「被害者の立場からすると,そもそも示談書自体,取り交わす義務など無い」ということです。

そのような状況下で,いかにして被害者の方に示談書,とりわけ刑事事件として意味のある示談書を取り交わしてもらうことができるのか,考えるべき出発点はそこにあります。

被害者の立場からすると,そもそも示談などする義務は無いので,「1億円積まれても示談しない」と言い放つことも自由ですし,どんなに軽いけがであったとしても,「1億円受け取らないと示談しない」というような回答をすることも自由です。

ただ,そうは言っても,被害者の立場からしても,けがをして入通院の費用がかかったり,仕事に行けなくなって給与が減ったり,痛い思いや悲しい思いをしたりしているにもかかわらず,交渉決裂で何の賠償も受けられないということでは厳しいという側面もあります。

示談金は,そういう被害者の方の思いを前提に,そして加害者側の謝罪ということを大前提にしたうえで,両者がそれぞれの事情で歩み寄って決まっていくということが大切になります。

そう考えると,示談金相場などという言い方がそもそも下品な言い回しであって,示談金に相場など無いのではないかということになってきます。ただ,実務的な側面で数多くの示談を見ていくと,あくまでも数字上の話として,示談金の大まかな平均値(≒相場)というものは,存在はするというのが実情ですので,次の項目では,あえて示談金相場に言及させていただこうと思います。

示談金相場

示談金相場については,色々なサイトで言及されているようですが,ここでは,私のこれまでの経験をベースにした相場観を,あくまでも参考値として案内させてもらいます。

・暴行罪 10万円~20万円程度

・傷害罪 全治1週間程度のけがで20万円程度 /全治1か月以上の場合は後遺症が残ることも多く100万円以上でも話のまとまらないことも

・盗撮 エスカレーターで背後からスカート内盗撮で30万円~40万円程度 / 職場での盗撮やトイレでの盗撮などは増額傾向

・痴漢(臀部を触る等の条例違反) 30万円から50万円程度

強制わいせつ罪 程度によって幅が広く,50万円から100万円程度/ 自宅に押し掛けるなどした場合には金額は増額する傾向

ストーカー防止法違反 当事者間の関係性によって大幅に異なるが50万円以上にはなることが多い

窃盗罪 万引きの場合は店舗が商品代以外は受け取らない場合も多い

    個人相手の場合は,対象物品の価格+10万円~50万円程度。

これらについては,あえて数値化したようなもので,各々の事情によって示談金の額は大幅に変わってきます。

例えば,被害者の自宅を加害者側が知ってしまっているような犯罪(下着窃盗や,帰宅直前の痴漢,ストーカー事案等)については,被害者としては恐怖でその場に住み続けることなど不可能で,当然に引越しを希望されますので,その際の引越し費用なども示談金に含めるということになる場合もあります。

個別のケースについては,やはり弁護士に直接相談されることをお勧めします。

金額以外の部分の重要性

示談となると,金額ばかりに目が行きがちですが,被害者の方にいかに納得をしていただくかが最も重要な要素になります。

金額だけでなく,書面上で「二度と接触しない」という約束をするとか,より具体的に「犯行現場最寄りの駅を利用しない」という約束をしたりすることで,被害者の方に安心していただくことも忘れないようにしたいところです。

そして,何よりも重要なのは,被害者の方に対する謝罪です。自らの犯罪行為で被害者の方がどういう状況に陥っているのかよく考えたうえで,謝罪をするべきです。謝罪の気持ちが無く,お金の力でもみ消そうというような態度は必ず見透かされます。

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示談と示談書 弁護士解説|前科を付けないために

示談とは

示談とは,一般には「民事上の紛争を当事者間で解決する」というような意味ですが,刑事事件においては,よく「示談で話をまとめた」とか,「示談で不起訴を勝ち取った」というような表現がなされるときがあります。

刑事事件で用いられるの示談という言葉については,「被害者に被害弁償をして被害を回復する」,さらに進んで「被害者に賠償をして被害届の取り下げをしてもらう」というような意味合いも含まれてきます。

刑事事件における示談の意味

特に被害者のいる事件の場合,被害者と示談ができているかどうかという点は,刑事処罰の軽重に大きな影響を与えます。

犯してしまった罪のそもそもの法定刑にもよりますが,示談が出来なければ刑事裁判となり実刑の可能性もあるような事件でも,示談ができていれば不起訴(=前科の回避)となるような場合も少なくありません

明確な被害者のいる犯罪,強制わいせつ・傷害・詐欺・窃盗・盗撮などについては,示談が刑事処罰の軽重に与える影響がより大きいのが特徴です。

示談書の意味

示談は,あくまでも当事者間の約束のようなものですので,口頭でも成立します。しかし,特に刑事事件における示談の場合には,「示談をした」という事実を裁判官や検察に把握してもらい,認定してもらう必要があるため,示談書という形にすることは事実上必須といえます。

そして,その示談書は,「刑事事件として意味のある示談書」でなければなりません。

刑事事件として意味のある示談書とは

民事事件としての観点からしか示談を見ていない場合,示談書は単純に,

「この事件の損害は○○円であり,その○○円については,〇月〇日までに支払う」

「この事件はこれで解決とし,双方は本件以外に債権債務関係にはない」

というような内容だけの示談書になってしまいます。

しかし,これでは刑事事件として処罰を軽くする効果は限定的なものになってしまいます。

刑事事件の示談書に求められる要素で一番大切なのは,被害者の処罰感情がどうなったのかということについての記載です。

通常,被害者は警察などで事情聴取を受ける際,「犯人を厳しく処罰してほしい」というような内容の調書を作成していることが多いです。このような調書についてそのままにしておくと,検察官や裁判官は文字通り受け取り,「被害者は厳しい処罰を希望している」というような前提をもとに事案を処理してしまいます。

この厳罰希望の調書を覆すことができるのが,刑事事件として意味のある示談書であり,そこには被害者のその時点での処罰感情を記載しておく必要があります。

示談書の文言として,理想的には「被害者としては加害者の刑事罰を望まない」という記載をもらいたいところです。

プラスαで,「今後一切被害者とは接触しない」であるとか,「本件については口外しない」というような約束事も入れておけば,被害者としても安心材料が増えますし,検察官や裁判官にいい印象を与えることにも繋がります。

当然ですが,被害者にはその記載の持つ意味,そういう記載のある示談書に署名押印することで加害者の罪が軽くなるということを理解いただいたうえで署名押印をしてもらう必要があります。

示談金の決め方や相場,いかにして示談をするのかという点については【示談と示談金の相場の解説|前科回避に向けて】をご覧ください。また,実際に示談をしたいと考えている方は,弁護士相談を活用して前科が回避できるよう動くことをおすすめします。

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窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存)による万引き事件を弁護士に相談すべき理由

窃盗症を疑うべきパターンとは

・ 特にお金に困っているわけでもない

・ これ以上罪を重ねれば実刑(=刑務所行き)の可能性が高い

・ 特に欲しい物でもない

これらに一つでも当てはまるのに,それでも万引きをしてしまう,万引きをしたいという衝動が止まらない,このような場合は,窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存症)を疑ってみて下さい。

ご家族の方も,どう考えても割に合わない万引きを何度も繰り返すというような状況に陥っておられる家族がいるならば,まずは窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存症)を疑ってみて下さい。

窃盗症( 病的窃盗・クレプトマニア・万引き依存症 )は,ごく簡単に説明すると,精神疾患の影響で,万引きをしたいという衝動が止まらず,結果,何度も万引きを繰り返してしまうという症状です。私が見てきた窃盗症の診断を受けている方々の特徴としては,一見すると精神疾患があるようには見えないものの,財布に何万円も入っているのに数千円の衣服や数百円の食料を万引きしてしまうというのが典型的で,こっそりカバンの中に商品を入れるというような万引きだけでなく,もはや持ち去りともいえるレベルで堂々と,豪快に商品を持ち帰るようなケースも多くあります。

摂食障害やうつ病などの別の精神疾患を持つ方も多いという特徴もあります。

窃盗症の診断が出ている方に話を聞いてみると,

① 「次に万引きで捕まった場合には刑務所に行くことになる」ということは重々承知している。

② しかし,いざ店に入って,「万引きをしたい」というスイッチが入ると,他のこと(逮捕されるかもしれないということや,家族にどれほどの迷惑をかけるのかということさえも)は考えられず,とにかく商品を盗りたい,そのことしか考えられない

③ 盗った後には,仮にそれが発覚しなかったとしても,凄まじい後悔の念が襲ってくる

という方が多いです。

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア)についての刑事事件上の扱い

このような窃盗症ですが,窃盗症であるからといって,罪ではなくなる・刑が免除されるなどということは,なかなかありません。たとえ医師による診断が明確に出ていてもそれは変わりません。

最近では,有名人が自身の窃盗症を告白するなど,徐々に,社会的にも窃盗症という症状が認知されつつあるようには思います。ただ,刑事事件の現場(被害店舗・警察・検察・裁判所)では,未だそこまでの理解は無く,「反省なく何度も窃盗を繰り返している」というような扱いがなされてしまうことも多いのが実情です。

とはいえ,

不起訴(=前科が付かない)となるか,罰金刑となるかというギリギリの案件

罰金刑で留まれるのか,刑事裁判になってしまうのかというギリギリの案件

実刑(=刑務所行き)か執行猶予かのギリギリの案件

執行猶予中の再犯

などでは,窃盗症という精神疾患的要素が考慮され,処罰を軽減してもらえたり,刑務所に行かなくてもよくなったというようなケースもあります。

そのために,主張し,立証していくべきは

① 窃盗症であるということ,② それを本人が自覚し,意欲的に治療していること, ③ 再犯防止策が徹底されていること 

ということになります。

窃盗症(病的窃盗・クレプトマニア)事案を弁護士に相談すべき理由とは

窃盗症事案を弁護士に相談・依頼すべき理由は,

刑事罰軽減のための主張・立証を手助けしてもらう

ということに尽きます。

例えば,窃盗症であるということを立証しようとすると,それは医者に診断書を書いてもらってそれを提出するという方法が典型的です。しかし,窃盗症を取り扱っている医師は非常に少なく,まずは医師探しの難航が予想されます。そして,仮にそういう医師を見つけたとしても,どういう風に医師にお願いすればいいのか裁判で使ってもらいやすい書面にするにはどうすればいいのか,裁判で医師に証人として来てもらうことは出来るのだろうか,裁判官に窃盗症を理解してもらうにはどういうことが必要なのか・・・

という具合に様々なノウハウが必要になります。

この他にも,本人が症状をいかに理解し,治療に取り組んでいるのかという点を立証するのは意外と難しかったりもします。

それをサポートするのが弁護士ということになります。そして,窃盗症などに関しては通常の刑事裁判とは異なる要素が多分にあるため,相談・依頼する弁護士は窃盗症などに詳しい弁護士であるに越したことはありません。

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家族が逮捕されたとき,これだけはやめて!|弁護士による解説

家族が逮捕されたときにしてはいけないこと

「家族が逮捕された」という一報を受けた時,一番してはいけないことは,

あせって職場などに連絡する

ことです。

家族が逮捕されれば,誰でも気が動転します。本人とはまったく連絡が取れませんし,警察も逮捕されたことくらいしか伝えてくれず,詳細は何も分からないことが多いです。

このようなときに,仕事を無断欠勤することになってはいけないと気を回し,職場に欠勤の連絡をするだけなら大きな問題にはなりにくいです。

しかし、それを超えて,逮捕されたことなどまで正直に話してしまい,後に後悔することになってしまうケースが多発しています。

「逮捕されたことなど言わなければ職場には分からなかったのに・・・」という状態です。

逮捕=10日以上出てこれないとは必ずしも言えません。

その日のうちの釈放の可能性もありますし、警察署で1~2泊しただけで釈放される場合などもあります。

このような場合は,欠勤は1~2日で済みますので,家族としては,職場に「とりあえず今日は行けない」ということだけを伝えればよく,釈放後に,本人自らが,職場に説明をするということが可能になります。うまくいけば,職場に対する悪影響を最小限にとどめられる可能性が出てきます。

職場に逮捕の事実などをどこまで知られてしまうのかという点は,今後の人生を大きく左右しかねない大きな問題です。

ただし,すべてはケースバイケースです。

法定刑の重い事件での逮捕である場合や,共犯者が多数いるというような事件の場合には1日・2日での釈放の可能性がかなり低いこともあります。また,実名報道がなされるような事件の場合には,どのみち職場に知られてしまうでしょう。

そういう点からしても,真っ先にするべきは,刑事事件に詳しく,事案に応じて身体拘束の期間がどれくらいになりそうかなど,相場観を有している弁護士に相談することです。その時点で判明している事件の内容を説明し,本人に会いに行ってもらう等もしつつ,今後どうなりそうかを予測してもらい,その予測に応じて職場にどう報告したらいいかアドバイスをもらうということが最善と考えます。身内が逮捕されてしまった場合には,まずこちらの相談窓口までご連絡ください。

【緊急窓口のご案内】ご親族が逮捕・勾留中の方へ

特殊詐欺・オレオレ詐欺の受け子|実刑を回避する方法

詐欺事件の法定刑は「懲役刑」のみ

特殊詐欺、振り込め詐欺、オレオレ詐欺など呼び方は色々ありますが、人を欺いて財物を交付させていれば、それは詐欺罪となります。

詐欺罪の法定刑は

10年以下の懲役

であり,罰金刑などはありません。(刑法246条

詐欺にかかわって、詐欺罪で起訴された場合、実刑(刑務所行き)になるか、執行猶予付き判決となるかのどちらかということになります。

あらかじめ騙された人から、お金やキャッシュカードなどを受け取るだけの「受け子」であっても、詐欺行為の中で重要な役割を担っている共犯とみられることが多く、受け子だからと言って罰金刑となるなどということはありません。

詐欺事件(受け子の量刑相場)

法定刑は10年以下の懲役となっていますので、各個別の事件については担当の裁判官が刑事裁判の中で出てきたいろいろな事情をもとに、10年以下という懲役の範囲内で,このケースではどのくらいの刑罰が相当なのかを考えることになります。

各事件、事情は様々ですので一概には言いにくい面もありますが、あえて相場観のようなものを案内させていただくとすれば,被害者数名で被害額1000万円を超えるというような場合ですと、いくら示談をしても、実刑を回避することは難しいという傾向にあります。

被害者2名くらいまで、被害額500万円くらいまで、詐欺への関与度合いも低いというような場合で、被害者への全額返還をしたうえで示談をしたというような場合では、実刑か執行猶予かのぎりぎりの所という印象です。

ただし,この基準は年々厳しくなっていっているようです。

受け子の典型例

相談を受ける中では、特殊詐欺の受け子をしてしまう人は、20歳前後の若い人が多い印象です。受け子をしてしまうきっかけとしては、ネット上の闇バイト募集に応募したとか、SNSで誘いが来たとか、悪友から誘われたというケースがほとんどです。

特徴的なのは、闇バイトに応募した時点では、本人には高収入なアルバイトというくらいの認識しかなく、犯行当日も「スーツを着たうえで○○駅付近にて待機するように」と言われてその場に行っているだけで、自分が何をさせられるのか、本当の直前まで理解していないケースが多いということです。

受け子が、指示通りの場所で時間を潰し、指示役から指示が来るのを待っていると、「○○という住所に行って、××銀行の▲▲と名乗って、封筒を受け取ってくるように」という指示が来ます。

受け子は、その時点で「これは特殊詐欺の受け子ではないのか」と初めて気づくという場合も多いのです。受け子にされてしまう人は、これまで犯罪などに手を染めたことが無い人も多く、いくらお金のためとはいえそんなことまではできないと考える人がほとんどです。しかし、犯罪組織はそんなことは百も承知で、事前に受け子の個人情報(住所・学校・勤務先)などを申請させており、「今更逆らったらどうなるか分かっているだろうな」と圧力をかけてくるのです。

20歳前後の若い応募者たちが、犯罪組織の脅しのプロから逃げることは困難です。

葛藤はするものの、やはり家族に迷惑がかかるのは避けたいなどと考えて,結局は受け子をやることになります。

一度受け子に手を染めてしまうと、犯罪組織に益々弱みを握られることになり、次の犯行、次の犯行と、立て続けに受け子を繰り返し、逮捕されるまで延々受け子を繰り返すというパターンが多いのが実情です。

そして、犯罪組織の幹部の人間はなかなか捕まりません。受け子だけ捕まったとしても、受け子への連絡には探知不能の電話を使っていたり、受け子には何も知らせないように工夫していますので、受け子がどれだけ捕まろうが、幹部には全く捜査が及ばないということが多いです。

受け子はむしろ被害者か

このような流れからすると、受け子も犯罪組織から利用され,場合によっては脅されたりもしているので、むしろ被害者ではないかという意見もありそうです。

確かにある意味そういう側面もあります。ただ、警察や検察、裁判所はそういう見方はしません。

いかに巧妙に受け子になるように仕向けられていたとしても、最後の最後に被害者から現金なりキャッシュカードなりを受け取るとき、「その時はその行為が騙しの行為であると分かっていた」、「分かっていたのに受け取った」、この点で大きな非難を受けることになります。

確かに,騙しの電話をしていた人物や、詐欺組織の幹部などと比べると、処罰は軽くなる傾向にはあるものの、受け子だから執行猶予は当たり前など言うことは全くなく、きっちりと詐欺罪で処罰される,実刑の可能性も比較的高いということになります。

刑事罰を少しでも軽くするために

受け子本人が完全に詐欺行為とは思っていなかったというような稀な場合を除き、薄々であっても詐欺と分かって受け子をしていたような場合で、刑罰を少しでも軽減させるために最も有用な手立ては、被害者に被害額全額+αを弁償し、刑事事件として有効な示談をすることです。

確かに、受け子は、被害額100万円の事件でなら、分け前は10万円もあればいい方です。しかし、だからと言って10万円だけ返すというようなことでは刑事罰の軽減は限定的です(何もしないよりははるかにマシではあります。)。裁判所は、被害者が実際に受けた損害を回復する、そこに大きな意味があると考えます。

とはいえ、そうはいってもそこまでのお金が用意できないという場合もあるでしょう。その場合であっても、出来る限りの被害弁償はしておくべきでしょう。被害額等にもよるものの、執行猶予の付く可能性を少しでも上げることに繋がりますし、実刑となる場合でも刑期が少しでも短くなる要素にはなります。

示談をしたい場合は弁護士に頼むべき

示談をしたい場合は、弁護士に示談を依頼するというのが王道です。

被害者の連絡先は、警察などを通じて聞くことになりますが、この際、加害者本人やその家族だけで話をしている状態だと、被害者側が連絡先を教えてくれない可能性が高まります。

「弁護士限りで連絡先を教えてくれないか」と頼んでみるというのが基本的なやり方かと思います。

そして、被害弁償や示談に至ったときは、それを裁判官に分かってもらえるように証拠化する必要があるため,刑事事件として意味のある示談書を取り交わすことが重要となります。

詳しくは,【示談と示談書の解説】

そしてその証拠を裁判で提出する。そこまでできて示談をしたということが裁判に反映されます。

そのあたりも含めて考えると、やはり示談は弁護士に依頼するのが無難であるといえます。

まとめ

当法律事務所では 、 これまで数多くの振り込め詐欺事案の刑事弁護を担当させていただきました。特に対策を講じることなく取調べを受けたり、刑事裁判に突入するようなことが無いよう、ぜひともご相談いただければと思います。無料相談はメールでも受け付けていますので、お困りの方は以下のページよりお問い合わせください。

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万引きを繰り返す窃盗症(クレプトマニア・病的窃盗)で刑務所に行かないために・弁護士に依頼する理由

万引きがやめられない方へ|窃盗症(クレプトマニア・万引き依存)を疑って

特にお金が無いというわけでもないのに万引きを繰り返してしまう,警察に何度も逮捕され「次は刑務所行きだ」と言われているのに万引きが止まらない,このような症状に自覚のある方,もしくは家族にその疑いがある方は,まずは精神疾患を疑ってください。

ほとんどの方は,窃盗症・クレプトマニアではないかと指摘されたとき,「そんなはずは無い」と否定されることが多いという印象です。しかし,自分以外の人にそうではないかと思われている以上,まずは医師に診てもらうということくらいはしてみるべきです。

病的窃盗・窃盗症・クレプトマニア・万引き依存症。名称は色々ありますが,もしそういった精神疾患から万引きの衝動が来ている場合,「意思をしっかりと持つ」とか「気の持ちよう」など,本人の努力だけでは万引きは止まりません。家族を大切に思っているとかそういうこととは無関係に万引きの衝動が抑えられないのです。

思い違いならそれでいいのです。ただ、その前に、一度だけでも、自分や家族が窃盗症である可能性、この可能性を考えてみてください。

万引きの回数を重ねれば重ねるほど,刑務所に行くことになってしまう(=実刑判決)可能性は上がってしまいます。

万引きと刑事事件について

万引きというのはあくまでも通称であり,物を盗む行為は窃盗罪(刑法235条)となる行為です。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となっており、決して軽い犯罪ではありません。逮捕されてしまうことも当然ありますし,罪を重ねれば刑務所に行くようなこともあります。

刑事罰の量刑相場

と言っても,万引きするとすぐに刑務所行きになるのかと言えばそうではありません。盗んだ物の価格,盗み方,被疑弁償等の有無,余罪といった色々な事情が処罰の軽重を決める判断要素となりますが,とりわけ大きな意味を持つのは前科の状況です。

これまでに万引き以外の前科が無いような方のケースでは,

警察を呼ばれて刑事事件化した場合,それが初回であれば多くの場合で微罪処分もしくは不起訴となり,その時点では前科とはなりません。

しかし,刑事事件化が2回目以降となると罰金刑となることが多く,さらに進んで3回目から4回目の刑事事件化となると,刑事裁判を受けることになるという流れが一般的です。

刑事裁判になったときは,1回目の刑事裁判であれば執行猶予が付くことで,実刑判決(=刑務所行き)は免れるというケースが多く,2回目以降は刑務所行き(実刑)の可能性が出てきます。前回の執行猶予判決の期間が終わらないうちの再犯というような場合には,実刑判決の可能性がかなり高くなってきます。

刑事事件と病的窃盗(窃盗症・クレプトマニア)

近年は,「窃盗症」,「クレプトマニア」,「病的窃盗」,「万引き依存症」という言葉を聞く機会も増えてきたように思います。こういう病気が存在すること,万引きを止められないという症状の人がいるということが世間一般に周知されるのは良い面もあります。しかし,刑事事件の場においては,警察・検察・裁判所,更に言うならば被害者となるお店においても,現状ではそこまで理解が進んでいないというのが弁護士としての正直な印象です。

これは,警察等が窃盗症などというものをそもそも知らないという場合だけでなく,ごく一部に刑罰軽減を狙って窃盗症を虚偽主張する人がいるという事情もあるように思います。他にも,窃盗症などでいかに精神疾患があったとしても,通常の生活ができていて錯乱状態のようにまではならないことがほとんどですので,周りから見ているだけでは「本当に病気か?」と疑われやすいという事情もあります。

お店の人からしても,窃盗症だクレプトマニアだと言われたところで、被害は減らないという事情もあり,それはそれでその通りだという側面もあります。

いずれにしても,刑事事件としては,「万引き=行ってはいけない」ということ自体は理解したうえでの犯行という点が強調され,「依存等の事情が存在するとしても,悪いことをしている認識はあったのだから処罰するべきだ」という結論に至りやすいという事情があります。

しかし,こういった中であっても,自らの病的要素を認め,真摯に再犯防止のための治療に取り組んでいるということを評価し,通常であれば実刑判決(刑務所行き)が出るようなケースであっても,執行猶予判決が出るケースが少しずつですが着実に出てきているところです。

病的窃盗(窃盗症・クレプトマニア)という事情をどう主張するか ・弁護士に依頼する意味

担当の警察官や検察官,裁判官に自分が窃盗症であること,そしてその治療をしっかりと行っていることを伝えるのは極めて重要です。しかし,単に口で説明しても,理解してもらうのは難しいでしょう。

最善は,窃盗症の刑事事件に詳しい弁護士に依頼してどのようにしたらよいのかアドバイスをもらいつつ,ともに裁判対策をすることです。

どういう形で,自分の思いや,自分の症状,治療への決意を伝えるのかは非常に難しい面もありますが,弁護士のアドバイスをもらって,しっかりと主張をする,弁護士からも書面を提出してもらう,そういうことが何より重要です。

刑事罰を決めるにあたって重要な役割を担う検察官や裁判官は,あなたのことについて,ほとんど何も知りません。検察官なら,取調べの時にせいぜい1時間程度話すくらいでしょうし,裁判官に至っては,裁判の日まで会うこともなく,裁判の時でもあなたと話をする時間は30分も無い場合がほとんどです。

処罰内容を決める人たちと話すことができる時間が極めて限られている状況ですので,まずは、こちらの話を聞いてもらえる時間についてはフル活用が必須ですし,加えて,それ以外の聞いてほしい事情などについては,あらかじめ用意した書面をしっかり見てもらう。そのようにして自分を理解してもらうしかありません。

どのような書面を用意するのか,どのようにして裁判官に事情を伝えるのか,この辺りのノウハウについては,弁護士によってかなり異なると考えられます。弁護士にも,こういう場合にどうしろというはっきりした教科書などはありませんので,それぞれが考え,それぞれ工夫しているというところになります。

当法律事務所では , これまで数多くの万引き事案の刑事弁護を担当させていただきました。単に法律的なアドバイスだけでなく , 万引きをしてしまうことに怯えなくてすむ生活に戻れるよう最善の方法をご提案させていただきます。無料相談はメールでも受け付けていますので 窃盗症等でお困りの方は以下のページよりお問い合わせください。

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公然わいせつ罪で前科をつけないためには

公然わいせつ罪とは 弁護士解説

公然わいせつ罪は,不特定または多数の人が認識できる状況でわいせつな行為をすると成立します。公然わいせつ罪の典型例としては,駅や商業施設など,人の多くいるような場所で下半身を露出させるというようなものがあります。やや特殊な例としては,乱交パーティー等で公然わいせつ罪が成立する場合もあります。

公然わいせつ罪の法定刑

 公然わいせつ罪は,刑法第174条にて

  ① 六月以下の懲役

  ② 30万円以下の罰金

  ③ 拘留

  ④ 科料

のいずれかに処するとされています。

公然わいせつ罪における刑事罰の相場観

どのような罪にも言えることですが,実際どのような刑事罰となるかというのは,法定刑だけでを確認しても分かりません。法定刑は,あくまでも刑事罰の範囲を示しているに過ぎません。当事者の立場になったときに一番気になるのは,自分の置かれている状況下で,どのくらいの刑罰になるのかということではないでしょうか。

公然わいせつでいうならば,どれだけの規模でわいせつ行為を行ったのか,どれだけの人がそのわいせつ状態を見たのか,計画的犯行なのか,捕まるまでに同じようなことをどれだけやってきているのか,本人が反省しているのか,前科はどうかなど,色々な要素をもとに,どれくらいの刑罰に処されるのかが決まっていきます。そして、そこにはある種の相場のようなものがあります。

公然わいせつ罪の場合,前科なし(初犯)で,1件から数件までの件数で下半身露出を行ったというケースの場合は,通常は罰金刑ということになります。

少し進んで,公然わいせつの前科が10年程度以内にあるにもかかわらず,再度公然わいせつ罪で刑事事件化した場合には,刑事裁判にかけられる可能性が高く,刑事裁判になることが初めてということであれば,執行猶予が付くのが通常です。

更に進んで,執行猶予中に再犯をしたり,執行猶予期間が終了していても何年も経っていなかったりすると,実刑判決(=刑務所にて服役)の可能性が高くなります。

公然わいせつ罪で前科をつけないためには

公然わいせつは,初犯でも罰金刑になることが多い犯罪です。罰金刑になるということは前科が付くということです。

では,公然わいせつ罪で前科をつけない(=不起訴処分)ためにはどうすればいいか。それは,

被害者(目撃者)との示談を成立させること

となります。

もちろん,露出してしまうのが精神疾患によるものなのであればその治療をすることや,反省をきっちりすることも重要です。ただ,それだけでは不起訴処分の決定打になりえない場合も多々あります。

 公然わいせつ罪は,公衆の性的感情に対する罪ということで,「社会に対する罪」という捉え方がされます。それにより,刑事事件の実務上は,わいせつ行為等を見てしまった人は「被害者」ではなく「目撃者」という扱いになります。そういう事情もあって,検察官によっては,示談をしても,「それは厳密には被害者との示談ではない」と指摘される場合もあります。

 とはいえ,私の経験上,それを踏まえたうえでも,検察のいう「目撃者(≠被害者)」と示談が成立し,検察官に適切に報告した場合には,不起訴処分とされる可能性が比較的高いというのも事実です。

示談の際の注意点・示談書の書き方などについては【示談と示談書の解説|前科回避に向けて】

公然わいせつ罪で前科の回避が難しいケース

公然わいせつ罪の典型例は,駅や商業施設などでの下半身露出であるというのは先ほど紹介しました。この際,多くの人がいる中でも,特定の人物に絞って露出するなどした場合には,被害者(目撃者)が誰なのかがはっきりしますが,下半身露出状態のまま走り回ったというような犯行態様の場合には,被害者(目撃者)が多数に上り,誰と示談していいのかが分からないというような状況に陥ってしまうことがあります。

この場合,示談は難しくなるでしょう。

また,仮に何とか被害者(目撃者)全員を見つけ出して全員と示談できたとしても,被害者多数ということで犯行が悪質と判断され,検察官から,いくら示談しても罰金刑は受けてもらうという判断をされてしまいやすいと考えられます。

その他,乱交パーティーなどで検挙された場合には,パーティー参加者各々については加害者でありつつも,形式上は被害者の側面があるというような複雑な状態になってしまいます。このような場合も示談というのは想定しにくいといえます。

示談が無理な場合でも,いかに反省しているのかという点を検察官にきっちり伝えることだけでなく,社会に対する罪ということで例えば寄付を行う,異常性癖などが原因であるならばその治療を行うなど,少しでも不起訴処分となる可能性が高まる行動はするべきと言えます。(とはいえ,示談無しでの不起訴処分はかなりハードルが高いというのが実情です。)

示談をするために弁護士は必要か

やはり刑事事件に精通した弁護士に依頼して,被害者と話をしてもらうというのが王道です。

刑事事件,とりわけ性犯罪に分類される事件については,加害者がいくら求めても,被害者側が加害者本人と直接話をしてくれるという可能性は極めて低いといえます。基本的には警察を介して被害者側の連絡先を聞くというようなことになりますが,ほとんどの場合,被害者に連絡先の開示を断られると思われます。このようなとき,「弁護士限りでいいから連絡先を教えてほしい」と持ち掛けると,弁護士限りで連絡先を知ることができる場合があります。

このようなケースではやはり弁護士に依頼して,刑事事件的に意味のある示談書を取り交わし,それを適切に検察官に提出するということが重要です。

示談の期限

前科をつけない(=不起訴処分)ためには,検察官が処分を決めてしまう前までに,被害者と示談をして,それを検察官に報告する必要があります。

検察によって罰金刑という処分がなされてしまい,それが確定してしまうと,後から示談できましたといくら報告しても,その罰金刑が取り消しになるということはありません。

具体的な期限は,身柄が拘束されたまま事件が進んでいるような場合は,勾留や勾留延長の期限が終わるまで(実際には逮捕直後から早急に動く以外にはありません)。

身体拘束がされずに事件が進んでいる場合は,警察での捜査が終わり,書類送検された後に検察から呼び出されるまでが,一応の期限と考えて下さい。

示談には被害者のためになるという側面も

示談というと,「犯罪をしたくせに往生際が悪い」とか,「反省が見られない」というような発想になる方もおられるところです。

ただ,被害者の立場で考えると,加害者側が示談など何も持ち掛けない場合には,「自分に下半身を露出してきた者が,とりあえず捕まって,とりあえず罰金刑になったらしい」ということが知らされる程度で,特に具体的な救済などは無いのが実情です。警察の捜査協力のために時間を使ったことに対する補償は無く,怖い思いをしたり,いつ犯人が自分の前に現れるかもしれないという恐怖,それらに対する救済はありません。

加害者側からどのような示談を持ちかけるかにもよりますが,示談をする場合は,金銭保証は当然のこと,加害者側から二度と近づかないという約束をすることで,被害者に少しでも安心してもらうことが出来る場合もあります。

被害者が何を望むのかというのはそれぞれではありますが,犯人が罰金刑になったからと言ってそれだけでは特に意味が無いと感じる被害者からすると,示談を持ちかけるということは,被害者への具体的救済という側面もあります。

刑事事件はどれだけ早い段階で弁護士に相談するかで,その後の展開が変わります。ご自身が公然わいせつ容疑で警察に呼び出しを受けている方,家族が逮捕されてしまったという方は,すぐに当事務所までご連絡ください。

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