窃盗症(クレプトマニア)で再度の執行猶予は可能か|弁護士が解説

万引きを繰り返してしまう——それは病かもしれません

「何度も繰り返してしまう」「自分でも止められない」 それは“窃盗症(クレプトマニア)”と呼ばれる精神的な問題かもしれません。 刑事事件として扱われる一方で、本人の意思だけでは制御しきれない衝動が背景にあることもあります。

窃盗症とは何か

行動の特徴(典型例):

  • 再犯=刑務所というような状況を把握しつつも万引きしてしまう
  • 特に欲しい物でもない
  • 「欲しい」というスイッチが入ってしまうと制御が効かない
  • 盗ってしまった後には激しい後悔がある

誤解されやすい点:

「反省していない」「悪い癖」と誤解されがちですが、衝動制御の困難さが根本に。

執行猶予中の再犯でも執行猶予は可能か?

法的な判断基準:

  • 裁判所は、「執行猶予判決=刑務所に行かないで済むための最後のチャンス」と捉えていますので、執行猶予中の再犯は、「最後のチャンスを与えたのに、それを不意にした」と受け取ります。

そのため、執行猶予中の再犯に関しては、基本は実刑(=刑務所)。しかも、前回の判決で猶予されていた刑が今回の刑に上乗せになりますので、刑期は長いものとなることが見込まれます。

ただし、何度も万引きしてしまうことが、単に反省していないということではなく、精神疾患的要素(窃盗症・クレプトマニア・病的窃盗)などに起因しており、更なる再犯を重ねないために実効的な治療などを開始・継続していることなどを裁判官が理解してくれた場合、低めの可能性ではあるものの、再度の執行猶予判決が出ることはあります

しかし、それは並大抵のことではありません。

いかに自分自身と向き合えるか、全力で治療にあたれるか。

そして何より大切なのは、それら決死の再犯防止策を、いかにして裁判官に理解してもらうかということになります。

弁護士ができること

医療との連携:

  • 適切な精神科医の紹介
  • 裁判時に提出する資料の手配
  • 定期的な進捗確認
  • 通院以外の再犯防止策の提案
  • 裁判に向けての相談等

示談交渉と被害者対応:

  • 示談成立は量刑判断に有利(示談できない場合の代替手段の提案

よくある質問(FAQ)

Q:窃盗症でも刑務所に行くことはありますか? A:あります。刑事裁判では、窃盗症というのはそこまでの減刑要素にはならないことが多く、裁判時に窃盗症という診断書だけを提出したとしても効果は限定的で、実刑判決(=刑務所)となっているケースは多々存在します。

Q:家族が窃盗症かもしれません。どうすれば? A:まずは相談を。現在の置かれた状況、どのように対応するべきかを案内させていただきます。刑事事件は、後戻りできない手続きに対して、大した説明もなく矢継ぎ早に対応を迫られるという特徴があります。

Q:警察に窃盗症を説明してもまったくききいれてくれないのですが? A:残念ながら、現時点での警察では、それが通常の対応となっていることが多いようです。病気だから反省しなくてもいいはずはないですが、警察官は窃盗症については、単に反省の問題と捉えていることも多いようです。

ご相談ください

窃盗症は、「反省していなからまたやった」ということではありません。治療と支援が必要な状態です。 刑事事件として扱われる一方で、法的な配慮と構造的な支援が可能です。 ご自身やご家族がこの問題に直面しているなら、まずはご相談ください。

📞 電話:06-6945-0318

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大阪での痴漢冤罪事件 弁護士解説

満員電車で近くにいた女性に突然「触られた!」と言われてしまったケース

 依頼者は,満員電車が嫌いで,満員電車を避けるために出社時間の1時間以上前に勤務先の最寄り駅に到着し,喫茶店で朝食をとるという生活をされている方でした。乗る電車も特急に乗ると混むという理由で,あえて各駅停車の電車に乗るほどの徹底ぶりでした。

ところが事件当日は,めったにしない寝坊をしてしまい,やむを得ず電車に駆け込み,普段は乗らない特急電車に乗ることになりました。その電車は,ラッシュアワーのど真ん中の時間帯で,ぎゅうぎゅうの満員電車。依頼者にとってはかなりの苦難の時間。これはきついと何とか時間の過ぎ去るのを待っていた矢先,依頼者に背を向ける形で立っていた会社員風の女性が,突然依頼者の腕をつかみ,「この人触っています!!」と叫びだしました。

車内は,「えっ!!」というような雰囲気となり,依頼者自身も何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでしたが,その女性が自分の腕をがっつり掴んでいることからすると,自分が痴漢をしたというような話になっていることに気付きました。

依頼者は,頭が真っ白になってしまい,しばし呆然とはしたものの,とにもかくにも,痴漢行為などはしていないので,「私は何もしていませんよ」というような応答をしました。

しかし,その女性は何故か依頼者が犯人であると確信しているようで,全く依頼者の話に聞く耳を持たず,押し問答のような形となり,周りにいた男性乗客からは「降りて話をしてはどうか」というよなことを言われ,乗り続けられるような雰囲気でもなくなったので,依頼者とその女性は,次の停車駅で降りることとなりました。

絵にかいたような痴漢冤罪の典型パターンに陥る

 電車から降りた後は,駅員さんを呼ばれ,駅員室に連れていかれて,そこで警察がやってくるというお決まりのパターンになりました。

 当然,私は何もやっていないと何度説明しても,駅員さんは全く聞く耳を持ってくれず,現場に到着した警察官も「はいはい。往生際悪いな~」というような感じで,依頼者の話をまともに聞いてくれる雰囲気は皆無でした。

 一昔前に,痴漢冤罪に巻き込まれた会社員の映画が流行ったことがありましたが,「もしかしたら冤罪なのでは」という発想は,現在に至ってもあまりないというのが実情なようです。

「やっていない」ということを一貫して言い続けることが極めて大切

 このまま警察に連れていかれた依頼者は,取調べ担当の警察官から「早く正直に話せ」というようなことをひたすら言われ続けましたが,やってもいないことを認めるということだけは絶対にしませんでした。

 結果的に,この件は嫌疑不十分で不起訴となるのですが,ここで根負けして,形だけでも認めるというような流れになってしまっていたら,結果は違ったと思われます。

電車内痴漢の場合は否認していても早期釈放ということはあり得る

 一昔前は,否認している時点で,最低でも10日間の勾留は当然という感じでしたが,最近は,初犯の電車痴漢などでは,否認していても48時間で釈放となったり,72時間で釈放となったりするケースも増えています。

 過去には,やってはいないけれど,早く出たいから,仕方なく認めるという方も大勢いたものと思われますが,今はそういう不本意なことをせずともよくなってきているということです。

 ただ,否認している場合の方が身体拘束が長引く可能性が高まるというのは依然としてありますので,少しでも身体拘束が早く解けるように,身元引受人を用意したり,被害者に接触しないという誓約書を作成したりということが必要になってきます。

 逮捕されるような事態に陥った場合は,早急に弁護士に連絡し,家族などによる身元引受書を作成する等して,警察官・検察官・裁判官にアピールすることが非常に重要です。

2日や3日で釈放されるのと,最低10日以上の身柄拘束を受けるのでは,勤務先への発覚リスク等,事件後の生活に対する影響度がまるで異なるはずです。

早期釈放の後,嫌疑不十分で不起訴処分となる

この依頼者のケースでは,早期釈放が叶いました。

その後,弁護士側で,事件当時の依頼者と女性の立ち位置の関係,依頼者の普段の生活パターン,その生活パターンからして,わざわざ遅刻している日に痴漢などするはずもないことなどを中心にした意見書を検察官に提出し,最終的な処分は嫌疑不十分とのことで不起訴処分となりました。

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