交通事故被害 慰謝料増額のからくり

公開日 2022/7/25 最終更新日 2024/3/6

同じ条件の事故被害でも慰謝料が変わるのは何故か

入通院慰謝料には,3種類の基準があるというのは「交通事故被害 慰謝料の決まり方」で説明した通りです。事故の相手が任意保険に加入していたならば,関係してくる慰謝料の基準は「任意基準」と「裁判基準(弁護士基準)」です。

「任意基準」とは,任意保険会社独自の慰謝料算定基準であり,「裁判基準(弁護士基準)」とは,被害者側が裁判で理想的に勝てた時の基準のようなものです。「任意基準」は「裁判基準(弁護士基準)」と比べると,ほぼすべての場合で相当程度低額となります

弁護士を付けずに,被害者が直接,相手の保険会社と話をしているとき,相手保険会社が算出してくる慰謝料はほとんどの場合で「任意基準」に則ったものになります。

では,なぜ保険会社は安い方の基準で慰謝料を算出してくるのでしょうか。

それは支払い額(支出)を下げるためであろうことは容易に想像できます。企業等が支出を少しでも低くするために努力する,それ自体は非難できるものではないのかもしれません。

弁護士に依頼すると慰謝料が増額する理由

弁護士に依頼すると慰謝料が増額する理由,それはひと言で言うならば,弁護士が出てきた時点で,訴訟が前提になるからということになります。

保険会社側も,「裁判基準(弁護士基準)」は当然に熟知しています。裁判を起こされたら,これくらいの支払いは避けられないと理解しています。

被害者の方が弁護士を付けずに,個人で保険会社と交渉しているうちは,とりあえず訴訟前提の基準よりは低い基準(=任意基準)で計算しておこう,そして,弁護士が出てきたら,本当に訴訟を提起されるかもしれないので,ある程度金額を上げよう,そういう感じなのかもしれません。

ただ,弁護士が出てきても,いきなり 「裁判基準(弁護士基準)」 まで引き上がるかとなると,そう簡単にはいかない場合がほとんどです。

「裁判基準(弁護士基準)」 は,あくまでも被害者側の要求が理想的に認められた時の基準であるということで,保険会社からすると,「裁判でかなりボロ負けしたときの額」という印象でしょうか。

さすがにそこまでボロ負けするとは限らないと考えるでしょうし,その他,実際に訴訟までするとなると半年から1年間程度はかかることも多いため,被害者としても負担が大きいという事情もあって,裁判まではしてこないのではないかと考える場合もあるでしょう。

実際,裁判をしても,裁判基準までは受け取れ得ない場合も多々ありますし,何よりも,裁判が終わるまで(半年から数年),慰謝料等が受け取れないという点で被害者としても厳しい側面があります。

それならば,裁判基準(弁護士基準) までは支払えないが,それに近いところで合意しませんかという話になったりすることもあります。

ただ,そのような場合でも,弁護士を入れずに保険会社と交渉している場合と比べると,受取額は段違いに上がることが多いというのが実際のところです。

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